2019 Fiscal Year Research-status Report
Identification of circulating factors triggering molecular pathological processes of Alzheimer's disease
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19K21585
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
西村 正樹 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 教授 (40322739)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ / リスク因子 / 循環因子 / 並体結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
Alzheimer病の根治的治療には、Aβペプチドの脳内蓄積に対する発症前介入が不可欠とされてきた。脳Aβ蓄積のリスクになる分子を標的とした介入から発症を予防ないし遅延することが効果的である。本症の最大のリスクは加齢であるが、その分子メカニズムは不明である。老化には全身性循環因子の関与が知られる一方、脳老化や認知機能に関する循環因子の知見は断片的に留まる。本課題では、脳Aβ蓄積開始に対する循環性リスク因子に関する理解を深め、分子メカニズムの解明からリスク制御を可能にする方策の開発を目指している。 脳Aβ蓄積をきたすモデルマウスを用い、老若個体からAβ蓄積のリスクに関与する加齢依存的循環因子を探索するため並体結合を行った。老若並体結合には、脳Aβ蓄積の開始月齢が明らかにされているヒト化変異型Aβ前駆体ノックイン(APP-KI)マウスと相手マウスに移行した細胞成分が同定可能な緑色蛍光全身発現GFP-Tgマウスを用いている。APP-KIマウスのうち、変異型によるApp(NL-F)及びApp(NL-G-F)マウスはそれぞれ12ヶ月齢、3ヶ月齢で脳Aβ蓄積が始まることが知られる。 令和元年度は、APP-KI マウスとGFP-Tgマウスにつき、老若種々の組み合わせで12週間の並体結合を行った。並体結合APP-KIマウスの脳Aβ蓄積を定量的に評価した結果、若齢マウスとの並体結合により老齢APP-KIマウスの脳Aβ沈着は明瞭に抑制された。GFP陽性細胞の浸潤は認めなかった。これは、若齢マウスの循環因子に脳Aβ蓄積を強く制御する加齢依存的因子が存在することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) APP-KIマウスとGFP-Tgマウスの並体結合: APP-KI マウスとGFP-Tgマウスの側腹部を皮膚切開し、両マウスを縫合して並体結合処置を行った。それぞれのマウスにつき、老若種々の組み合わせ(16種類)で並体結合し4~12週間飼育した。 (2) 並体結合マウスの脳Aβ沈着評価:施術後12週間飼育したAPP-KIマウスの脳Aβ沈着を免疫組織化学及びELISAで定量的に評価し、対照マウスのAβ沈着と比較した。また、APP-KIマウス脳内へのGFP陽性細胞の侵入を組織学的に判定し、陽性の場合はマーカー等にて細胞種の同定を試みた。 (3) 以上の結果、老齢APP-KIマウスの脳Aβ沈着は若齢マウスとの並体結合により明瞭に抑制された。GFP陽性細胞の浸潤は認めなかった。これは、若齢マウスの循環因子に脳Aβ蓄積を強く制御する加齢依存的因子が存在することを示唆しており、この同定に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)APP-KIマウスとGFP-Tgマウスの並体結合による脳Aβ沈着への影響について、さらに評価を確認する。また、並体結合ペアとマウス月齢や施術後飼育期間との関連についても検討を加える。 (2)網羅的解析による目的因子の同定:目的因子の存在が示唆されたことから、当該マウス血清タンパク質の分子サイズ等による分画化から候補因子を絞り込む。また、若齢および老齢野生型マウスの血清中全ペプチドを安定同位体標識しLC-MS/MS解析することで発現に差のあるタンパク質をリスト化し、脳Aβ蓄積に対する効果を評価し候補因子を同定する。 (3)目的因子の機能解析:培養細胞ないしAPP-KIマウスを用いて候補因子がAβ産生系及びAβ分解系、Aβ排出系に効果を示すか、またそのメカニズムを解析する。また、ヒト剖検脳組織あるいは患者血清を用いた解析を行い、候補因子の発現レベルと脳Aβ蓄積ないし認知機能との相関性を評価する。
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Causes of Carryover |
研究は順調に進んでいるが、「網羅的解析による目的因子の同定」に関わる一連の試薬の調達が遅れ支出が次年度に繰り越した。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Generation of transgenic cynomolgus monkeys overexpressing the gene for amyloid-β precursor protein2020
Author(s)
Seita Y, Morimura T, Watanabe N, Iwatani C, Tsuchiya H, Nakamura S, Suzuki T, Yanagisawa D, Tsukiyama T, Nakaya M, Okamura E, Muto M, Ema M, Nishimura M, Tooyama I.
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Journal Title
Journal of Alzheimer's Disease
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Decrease in p3-Alcβ37 and p3-Alcβ40, products of Alcadein β generated by γ-secretase cleavages, in aged monkeys and Alzheimer’s disease patients2019
Author(s)
Hata S, Omori C, Kimura A, Saito H, Kimura N, Gupta V, Pedrini F, Hone E, Chatterjee P, Taddei K, Kasuga K, Ikeuchi T, Waragai M, Nishimura M, Hu A, Nakaya T, Meijer L, Maeda M, Yamamoto T, Master CL, Rowe C, Ames D, Yamamoto K, Martins RN, Gandy S, Suzuki T.
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Journal Title
Alzheimer's & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions
Volume: 5
Pages: 740-750
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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