2019 Fiscal Year Research-status Report
Anti-aging challenge based on chrono-nutrition
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19K21597
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柴田 重信 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10162629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 優 早稲田大学, 理工学術院, 准教授(任期付) (80707399)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | circadian / aging / 体内時計 / 老化 / 制限給餌 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らが確立した時間栄養学(「いつ?」に着目した体内時計研究から発展した新しい栄養学)は、これまで抗肥満や代謝機能に関する研究が主だった。本研究ではさらに、時間栄養学を老化研究に応用・発展させることを目的とする。実際に、ハンチントン病モデルマウスに、規則正しい食生活介入を行った結果、睡眠リズムの改善、主症状である運動機能低下の予防効果が得られた。そこで、アンチエージングを意識した規則正しい食生活介入の効果が得ること、逆にエージングを助長する食生活介入を明らかにして、体内時計とアンチエージングの理解を深めることにする。 まず、第一に実際の老化促進マウスを使用した研究である。老化促進モデルマウスとして、ミトコンドリアDNA(mtDNA)のポリメラーゼ・ガンマ(Polg)遺伝子の変異マウスを用いた。10月齢のPolgマウスは、Wildに比較して、顕著に活動リズムの振幅が低下し、体内時計の視点で確かに老化促進マウスであることが分かった。次に、食事時間を一定にし、アンチエージングが見られか否かの研究を開始した。3ケ月が経過した時点では、WildマウスもPolgマウスも両者に差は見られなかった。現在10ケ月に向かって研究を進行中である。 第二の実験系は、老化モデルマウスを使うのではなく、成熟期のマウスを用い、種々の食事パターンが活動リズム、代謝関連指標、免疫反応に対する違いを見出し、そのことが将来的にアンチエージングに役立つ可能性を類推する。本研究方法は、比較短時間で成果が出やすいという利点がある。1週間の7日と2日間に分け、それぞれの日にち、高脂肪食か普通食を与える2群を用意した。もちろん7日間高脂肪食もしくは普通食を与える2群を用意した。5日間の高脂肪食で肥満が、2日の普通食で体重が戻り、逆に2日の高脂肪食では肥満は起こらず、前者は老化を引き起こす食事パターンの可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はPolgマウスの生産に問題があったが、現在は順調に生産できるようになり複数の研究を進めることは可能となってきた。老化による体内時計や時計遺伝子の発現リズムの乱れと、それに伴うリズム機能の乱れがエージング効果として表れやすいという仮説のもと、現在、食事パターンの正常化が老化を止めうる可能性について研究を推進しており、10ケ月の食事介入のデータは年度前半に得られるので、研究の進捗具は良い。また、週間リズムに関する研究では、5日高脂肪食+2日普通食が、意外にも肥満を呈することが分かった。逆パターンでは高脂肪食の日数が2日間なので、高脂肪に対する依存性が出てこないものと思われる。次に、5日間の高脂肪食で高度な肥満が出現してくるので、現在、時間運j動学の知識も導入し、高脂肪食提示の5日間のみで、肥満が改善される可能性について調べており、週間リズムの食と運動の関係が明らかになり、アンチエージング研究に大いに利用でき、本研究も十分な進捗を示している。 次に、食事パターンを変えることによる免疫系の異常について研究をスタートした。エージング状態は免疫系が低下し、そのことが色々な疾患を引き起こすことがよく知られている。そこで、不規則な食習慣がアンチエージングにならないことを示し、いかに規則正しい食生活が重要であるかを示す。急速に食事時間を3時間程度前進させたり後退させたりする群、毎日一定時刻で食事をさせる群、さらに緩やかに食事の位相を前進させたり後退させる群を用意し、LPS(リポポリサッカライド)で免疫系を刺激した時のマウスの致死を調べたところ、急激に食事時間を変更した群が圧倒的に致死率が高かった。このように、食事パターンとアンチエージングの関係を調べる研究が進捗している。また、不規則な食事が炎症性サイトカインの発現増大を引き起こすので、これが老化が進むことにつながる可能性を示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
Polgマウスが有用な老化モデルマウスであることが分かり、正常な時間の食事制限で、アンチエージング効果が見られそうなので、引き続きPolgマウスを用いた研究を続ける。このマウスが老化促進モデルマウスであれば、老化する前の段階で、老化にかかわる特徴が見出せるはずである。そこで、3-4月齢でまだ老化が見られていない状態での免疫系の機能について調べる。そこで、正常食事でアンチエージングが見られた動物では、免疫系が低下していないことを示す。 次に不規則食事のモデルとして夜食症を取り上げる。夜食症は睡眠リズムをはじめとする体内時計機構に変調をきたすので、このモデルマウスの精神機能をうつ病を中心に調べる。健全な精神機能はアンチエージングに重要である。したがって、食パターンの不健全化が精神疾患の引き金になり、そのことがエージングの促進リスクになる可能性を見出す。 ヒト研究では高齢者を対象としたアンチエージングについて始める。高齢者が水溶性食物繊維の豊富な食事を朝と夕のいずれかに取ると、血糖コントロールや短鎖脂肪酸産生、腸内細菌叢の多様性に対する効果が変わる可能性を調べる。このように時間栄養学的な視点がアンチエージングになりうることを示す。この場合、食物繊維の小腸での糖の吸収に対する抑制効果と、大腸での腸内細菌の多様性発現効果との関連性を個人ベースで明らかにし、食物繊維が小腸と大腸の両方に効果的である、あるいはないと言った議論を行う。 また、高齢者の行動・睡眠リズムなどを調べると、高齢者では朝型になりやすいことが分かった。そこで、朝型と食行動や食事内容との関係を調べる。一般的に夜型は肥満などのメタボリックシンドロームのリスクが高いt言われているが、一方で超朝型の高齢者については、不明な点が多い。そこで、今回は超朝型の高齢者の食生活の特徴を調べ、超朝型とアンチエージングの関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスが流行し始めて、必要な消耗品が手に入らなかった。しかしながら、次年度は、この消耗品を優先して購入する予定であり、研究は十分に遂行できる予定である。
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Research Products
(6 results)