2020 Fiscal Year Research-status Report
Mystical Thought in the Edo Period: Secret Traditions relating to Prince Shotoku
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19K21602
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
曽根原 理 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (30222079)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 近世仏教 / 聖徳太子信仰 / 潮音道海 / 依田貞鎮 / 大成経 / 東照権現 / 黒本尊 / 排仏論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の活動として、史料調査と史料集の作成準備が挙げられる。 史料調査としては、神宮文庫(三重県伊勢市)が所蔵する史料8点(『三伝初篇』『参元全書』『霊宗全書』など)を調査することが出来た。いずれも作者未詳ながら、近世の『大成経』関係書として、特異な内容を持つことから、今後分析を進めていきたい。 史料集作成準備としては『大成経』や近世宗教に関わる史料収集と翻刻を進めており、本年度は内閣文庫本『暁誉源栄覚書』『供奉記』など6点の調査や翻刻作成を進めた。また、協力をお願いしているW.J.ボート先生(ライデン大学名誉教授)などと相談し、収録する書目や解題作成などについて、共同作業を行うことが出来た。具体的には、三教一致説を説く『神社考弁疑』『扶桑護仏神論』や、『大成経』の強い影響が考えられる依田貞鎮の著作について、翻刻や注釈を作成して頂き史料集に収める予定である。ただし一方で、covid-19感染拡大に伴い、各地の史料保存機関に赴いて書誌調査等を実施することが困難となり、次年度に作業を繰り越した部分もあった。 なお上記の活動の研究成果として、2021年8月(予定)の国際学会で口頭発表することを計画している。前記ボート先生や国内外の『大成経』研究者に呼びかけ、パネルを組織し申請し、すでに報告することが認められ準備を進めている。内容は、近世の『大成経』受容に関する言説分析を考えており、他の発表者の報告とともに、従来の近世思想や近世宗教のイメージ見直しにつながることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近世宗教に関する研究、特に聖徳太子信仰や三教一致思想に関する調査と検討を進めるという目的に対し、①史料集刊行と、②国際学会等における成果報告という2点について、ほぼ順調に準備を進めている。Covid-19感染拡大などのため、①については史料調査の若干の遅れ、②については対面でなくオンライン学会への変更、という当初予定とは異なる面もあるが、目標に対し大きな阻害要因とはなっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となるため、数多い『大成経』関連書のうち一部については、史料集に収録し刊行の作業を実施する。その他、収集した他の史料についても分析・検討し、論文執筆や翻刻作成を行い、成果報告を行う。また、報告書の作成も検討したい。
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Causes of Carryover |
第一に、2020年8月に予定されていた国際会議(EAJS)が、国際的なCovid-19の感染拡大のため1年間延期となり、その旅費を繰り越すことになった。 第二に、それに前後して渡欧し、オランダのW.J.ボート名誉教授ほかライデン大学の日本研究者と共同研究の実施(本研究の成果として予定している資料集刊行の基礎作業など)を予定していたが、それも代替手段を用いざるを得なくなった。 主に上記2点の理由により、次年度使用額が生じた。
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