2019 Fiscal Year Research-status Report
Reconstruction of "Japanese-Chinese" Boundaries Reconsidered from Hunting Manners and Customs
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19K21603
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水野 裕史 筑波大学, 芸術系, 助教 (50617024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 拓也 京都大学, 野生動物研究センター, 特定准教授 (60779114)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 和漢 / 狩猟風俗 / 韃靼人図 / 鷹狩図 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、室町時代以来議論されてきた「中国的なもの」と「日本的なもの」の区分、すなわち「和漢」の境界を見直すことにある。その研究対象として、中央アジアから伝わった狩猟風俗を基盤に再構成を試みる。具体的な方法として、①文献史料の調査、②絵画作品の調査を柱とする。 研究代表者の水野裕史は、以下の研究をおこなった。文献史料の調査としては、『古今著聞集』や『御座敷御かざりの事』に記載される鷹狩図に関する記述の再検討をおこなった。また、『日本教会史』などに所収されている桃山時代の武家屋敷の間取りの記述から、武家の邸宅における鷹狩図の使用例を見出した。作品調査では、狩野興以「韃靼人狩猟図屏風」(福井県立美術館)、伝雲谷等顔「花見鷹狩図屏風」(MOA美術館)、「狩野派粉本類」(東京藝術大学大学美術館)などを対象に実施した。いずれも研究協力者とともにおこない、様式判定、作者の同定、モチーフの特定など、重要な知見を得ることができた。 分担者の相馬拓也は、狩猟風俗に関する表象や視覚表現系のコンテクストを理解するために、日本~中央ユ―ラシアにおける狩猟文化の情報・文献収集を実施した。とくに鷹狩、猟犬使用、狩猟対象獣、狩猟方法などについての考古学資料や民族誌情報が多数収集された。また狩猟文化の痕跡が残る土地へ実際にフィールドワークを実施し、モンゴルでも騎馬鷹狩猟へ参加した。また沖縄ではサシバ猟についての情報収集を実施した。初年度は表現芸術の解釈やコンテクスト分析の基礎固めに費やし、次年度につながる多くの成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、年度末に予定していた海外の博物館に所蔵されている作品調査を延期としたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、新型コロナウィルス対策のため、日本と渡航先双方において安全の宣言がない限り、国外の出張予定を中止し、研究計画を大幅に変更する。国外出張予定であった水野(研究代表者)・相馬(研究分担者)の出張を中止し、当該費用は次年度に繰り越す。2020年度の研究は昨年度収集した資料の整理、あるいは文献調査に切り替える。国内出張もこれに準じる。 加えて、初年度は、狩猟風俗の対象を「鷹狩」としたが、今後は対象を広げ、「漁労」や「鵜飼」などの美術作品と文献史料についても研究をおこなう。また、国際的な比較研究をおこなうため、東アジア諸国における狩猟風俗に関する絵画作品および文献史料を入手し、日本の狩猟風俗の特質を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、年度末に予定していた海外の博物館に所蔵されている作品調査を延期としたため、未使用額が発生した。収束後には、ただちに調査をおこない、適切に使用する予定である。なお、事態が収束しない場合には、国内調査ならびに文献調査に切り替えて対応することとする。
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