2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K21608
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
平 諭一郎 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10582819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 秀雄 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00324393)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 保存 / バイオメディア / 芸術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生物由来の細胞や生体高分子を媒体として用いたバイオメディア・アート作品の保存とは何を意味するのか、それを可能とする実践にはどのような方法論が必要なのかを探求するものである。バイオメディア・アートの長期保存や再制作の過程を含め多角的に検証し、作品を生きて存続させる新たな保存方法を開拓していくことにより、そもそも芸術の保存とは何を意味するのかについて問うていく。 今年度は、生きているバイオメディアを作品の構成要素として用いることが多いバイオメディア・アートの保存概念(何をもって保存とするか)を構築するべく、岩崎秀雄《Culturing<Paper>cut》(2013-、2018改作)の再制作における蘇生作業を通じて保存概念を考察した。シアノバクテリアOscillatoria sp.、ゲルライト培地、生物学論文、紙、照明を構成要素とする本作品は、生物学論文が印刷された紙をもとに造形した切り絵が、その展示中に生きたシアノバクテリアの光合成によって緑色に覆われていく。その作品の展示(公開)と保管(収蔵)、再制作(再展示)に伴っておこなわれるシアノバクテリアの代替について、美術品的な修復手続き(蘇生)を実施した。また、美術、芸術および生物分野での執筆、講演により本研究の成果を広く公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオメディア・アートの保存や継承についての研究成果を雑誌への寄稿や講演にて発表、公開した
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Strategy for Future Research Activity |
今後の状況を鑑みながら、選定したバイオメディア・アート作品を対象に、様々な保存・修復手法を実施しながら経過観察しながら、生体保存ないし恒常的復元のための最適解を探り、作品を生きて存続させる新たな保存方法を開拓する。
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Causes of Carryover |
研究成果発表が次年度へ延期となり、当該の研究費を確保したため。次年度は、展覧会形式での研究成果発表に関わる制作費、展示費、報告書発行費に使用する。
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