2019 Fiscal Year Research-status Report
The Processes in which Art Activities Contribute to Social Inclusion
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19K21614
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 美亜 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (20436695)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 芸術活動 / 社会包摂 / ワークショップ / ファシリテーター / 価値創造 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、以下のような研究活動を行った。 (1)関連分野の知見の整理:創造とエンパワメントの関連について整理し、論文化した(平成28~令和元年度科研費(挑戦的萌芽)「共創的芸術実践が効果をもたらす仕組みに関する社会学的・認知科学的研究」と連携)。本論文によって、個々の参加者が生かされる創造の方法を「創出」し、その方法で創造を行うことができた場合、「語りなおし」の契機が生まれ、創造とエンパワメントが両立することが示された。 (2)エピソードの収集・インタビュー調査:東京文化会館の“Workshop Workshop! 2020 on stage & legacy”に関するフィールドワークを実施した(公益財団法人東京都歴史文化財団の受託研究と連携)。高齢者・障害者施設等での参与観察6回、トレーニング講師や受講生へのインタビュー4回、社会包摂に関わる文化事業の実践者へのグループ及び単独インタビュー3回を行った。以上の調査から、これまで曖昧にしか言語化されてこなかった社会包摂を意識したワークショップの意義やファシリテーターの役割が明らかになった。特に重要なのは、経験の豊かなアーティスト(兼ファシリテーター)は、社会福祉的な課題を解決しようとするのではなく、「音」や「動き」のあり方という、表現活動における目標を設定し、その目標達成を目指していた点だった。つまり、芸術的な課題に向けて創造的な活動を行い、新しい価値を生み出すことで、もとあった課題を解決するという、いわば「価値創造を通した課題解決」が重要であることが明らかになった。 (3)その他(シンポジウム参加):世界劇場会議が主催する国際フォーラム「“文化芸術の社会包摂”、その社会的価値をとらえなおす」に参加し、基調講演を行った。イギリスや国内の多様な実践家と意見を交換し、社会包摂と文化事業の関わりについて理解を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関連する他の研究プロジェクトと連携させながら、着実に研究を推進している。
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Strategy for Future Research Activity |
調査結果のより緻密な分析や文化政策研究との連携に注力する。
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Causes of Carryover |
関連する研究プロジェクトと連携することで予算を節約することができた。また、年度末に執行予定だった出張等は、新型コロナウィルス感染拡大により延期せざるを得なかった。
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Research Products
(7 results)