2021 Fiscal Year Research-status Report
近世英国と日本における書物文化の偶発的パラレリズム研究
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19K21631
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| Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
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Principal Investigator |
高野 美千代 山梨県立大学, 国際政策学部, 准教授 (10289811)
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| Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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| Keywords | 書物史 / 好古学 / 日英街道絵図 / 有職故実 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、近世日英の書物に共通する事項に関連する資料を調査、日本の文献については収集を行い、精読することに重点を置いた。具体的には、好古学／国学に関連する有職故実の研究や、街道絵図等に新たな題材を見出し、考察を始めることができた。
街道絵図や地図については、英国のほうが時代的にはかなり先んじているものの、一般の人々が旅行を始めるようになった17世紀頃からは両国において出版・流通が盛んとなった。一方の有職故実は日本国内では中世よりその研究が知られているが、英国においても16世紀あたりからは同様の学問研究が見られるようになる。
本課題で注目している17世紀を中心とする日英書物の発展は、実際には接点がなく、偶然同じような時期に発生した事象であると考えられるが、近世という時代における東西の人間の営みがいかに類似した形態をもって書物にあらわれたのかを様々な領域の文献から知ることとなった。
近世日英街道絵図の比較研究に関しては、科研費研究集会を2022年1月にオンラインで開催し、論文にまとめたものを口頭で発表した。Chorographia Britanniae, or a new set of maps of all the counties in England and Wales（1742）と『東海木曽両道中懐宝図鑑』（1765）の比較研究である。これについては国内外の研究者から大変興味を持たれ、有意義なコメントと課題を与えられたので、引き続き考察を進めている。
近世英国の有職故実研究については英国の紋章官イライアス・アシュモールの書物を例にして考察をまとめ所属大学の紀要に発表した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献資料の確認収集作業についてはかなり進んだものの、近世英国書物に関する現地調査が延期になり、それに伴って海外研究者との国際的な研究交流が困難となったため、当初予定したよりも進展が遅れている。
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| Strategy for Future Research Activity |
未だ不足している文献資料を国内外において収集し、日英書物史の考察を深める。英国の研究協力者との共同研究を発展させ、文献収集を含む現地調査も可能な限り展開したいと考えている。近世の日英出版事情に関連して、日英における廉価出版物による情報の流布に関して、具体的作品を分析し、その受容の状況について比較検討を進める計画である。さらには日英両国における近世の書物蒐集について具体的な考察していく予定である。いずれも国際的な研究ネットワークにおいて成果を上げていきたいと考えている。
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| Causes of Carryover |
英国における現地調査および海外研究者を含めた対面での共同研究が実現しなかったため、おもに旅費に充てる分の研究費が未使用となった。次年度については、海外研究者と顔を合わせて国際共同研究を実施することと、さらなる研究成果発表を行うために研究費を使用したい。
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