2021 Fiscal Year Research-status Report
外国語の知識が母語に関するメタ言語能力に与える影響についての理論的・実証的研究
Project/Area Number |
19K21633
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大津 由紀雄 関西大学, 外国語学部, 客員教授 (80100410)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | メタ言語能力 / ことばへの気づき / 母語 / 外国語 / 英語教育 / 国語教育 / 言語教育 / 認知科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は2つの目的を持つ。第一の目的は外国語の学習において身につけた知識が母語に関するメタ言語能力の発達に正の影響を与えるか否かを探ることである。第二の目的は母語に関するメタ言語能力と外国語に関するメタ言語能力が共通の認知機構に根ざすものであるか否かを探ることである。外国語の知識が母語に関するメタ言語能力の発達に正の効果を与えることが実証できれば、認知科学的な意義だけでなく、外国語教育の意義とその在り方に重要な影響を与え、社会的インパクトが期待できる。さらに、メタ言語能力について新たな視点(母語と外国語に関するメタ言語能力の関連)から検討することによってブレークス ルーをもたらす可能性がある。 以下に、これまでの研究実績をまとめる。まず、母語の知識、外国語の知識、母語に関するメタ言語能力、外国語に関するメタ言語能力を関連させて捉えるための認知モデルを構築した。そのモデルの妥当性を検証するために必要なテストを作成した段階で、新型コロナ感染症の拡大により、学校を単位とした大規模な調査が行えなくなった。結果として、規模を縮小した調査を行い、外国語の学習において身につけた知識が母語に関するメタ言語能力の発達に正の影響を与える可能性があることが示唆された。 本研究は学校における英語教育、国語教育などにも重要な示唆を与え得るものであることから、小中高の教員グループとの定期的な会合を重ね、意見交換を行うことによって、本研究の成果の社会的意義を確実なものにする努力を重ねてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論面においては予定どおりに研究が進展したが、実証面においては新型コロナ感染状況の拡大により学校を単位とした調査が行えず、規模を縮小した調査を実施したが、なお遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
理論面については予定どおりの成果をあげることができたので、遅れが生じている実証面については、規模を縮小した調査に加え、オンラインを利用した調査、文献調査の拡大を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症状況が拡大したため、実証的研究の一部が予定どおり実施できなかった。現在、規模を縮小した調査が進行中である。2022年度はその調査のために使用する予定である。
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