2020 Fiscal Year Research-status Report
Developing L2 automatic pronunciation evaluation and pronunciation learning-support systems for effective speech communication
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19K21638
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 眞理子 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (00329054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Detey Sylvain 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (00548927)
小西 隆之 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 講師(任期付) (90780982)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 日本語訛の英語 / 第二言語音声発話評定 / 流暢さ / 発話速度 / 機械評定 / 音声発話コーパス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、前年度に解析した日本語話者の英語の韻律の音響特徴を元に、それらの特徴を機械的に評定するシステムの構築と、その精度の検証を行った。これまで外国語訛の音声発話を正確に評定するシステムは存在はするものの、その精度に関しては様々な問題が指摘されてきた。2020年度は、(1)183名の日本語母語話者と25名の英語母語話者が音読した『The North Wind and the Sun』の音声データを元に、16人の母語の異なる評定者(アメリカ英語話者4名、日本語話者4名、他の言語話者8名)による、(a)文節音の正確さ、(b)韻律の正確さ、(c)流暢さ、(d)発音の母語話者度の評定値の比較を行った。このデータのうち、25名の英語母語話者とランダムに抽出した72名の日本語母語話者の計97名の音声データを、(i)アメリカ英語母語話者で、かつ英語音声学を専門とする新たな4名の評定者に流暢さに特化した評定をしてもらい、また同じ97人の音声データを使い(ii)機械に流暢さ判定の学習をさせた結果の評定値と、アメリカ人で英語音声学を専門とする評定者との相関を検証したところ、相関値は0.83であった。次に、(iii)機械学習には使わなかった111名の日本語母語話者の英語発話データの流暢さを機械に評定させ、その評定値を元々の母語の異なる16名の評定者の評定値とを比較したところ、相関値は0.62-0.67であった。 これらの結果から、機械による日本語訛の英語の流暢さの自動判定は、かなり信頼度が高いと言える。また97名のデータと111名のデータの相関値の違いは、人間の評定者の母語の違いが影響していると考えられる。英語母語話者と非母語話者の日本語訛の英語に対する流暢さの評価は、母語による評定に差があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
日本語訛の英語に関する研究とその結果を元にした、自動評定システムんオ開発はある程度進んでいるが、2020年度に本来行うはずであった、流暢さ以外のa)文節音の正確さ、(b)韻律の正確さ、(d)発音の母語話者度に対する人による評定と機械評定の検証は、コロナの状況では人を対象とした実験ができないため、中断を余儀なくされている。 また、2年目には、日本語訛のフランス語、フランス語訛の英語のデーター収集と分析を行うはずであったが、フランスの状況が日本よりも良くなかったことや、研究協力者がコロナにかかってしまうなど、研究を勧められる状況ではなかったために、予定通りには進んでいない。 日本の状況もあまりいいとは言えないが、できる範囲で少しずつ、発話データの収集を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在もあまり研究環境が良いとは言えないが、発話データの収集も、評定実験もオンラインを利用して行うことを考えている。そのためには、データ収集ソフトの構築が必要となるが、なるべく多くの学生に参加してもらえるように、スマートフォーンを利用してデータ収集ができるシステムを作る計画を立てている。
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Causes of Carryover |
昨年度は人を対象とした実験を行うことが状況的にとても困難であったこと、また予定していた学会が、国内も国際学会も中止または、オンラインになってしまったことで、当初予定していた学会出張費を使わない結果となってしまった。本来であれば、日本側からフランスに行き、知覚実験を行う予定になっていたが、現状では海外渡航が無理なので、2021年度に状況がよくなれば、日本とフランスで人を対象とした実験を行うつもりである。そのための渡航費と実験の経費、また学会のための出張旅費が計上されている。
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