2022 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research for sharing of "Kojiruien" and analysis of modern classical science
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19K21640
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
相田 満 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (00249921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 奨治 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (20248751)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 古事類苑 / 日本古典学 / 青空文庫 / 電子化テキストフォーマット / 百科全書 / 類書 / 無窮会 / 井上頼圀 |
Outline of Annual Research Achievements |
1896年(明治29年)-1914年(大正3年)に刊行以来、紙の書籍では、今なお日本最大規模を誇る百科全書『古事類苑』の全文テキストを、日本語版面の再現に実績があり、最も可読ツールの普及している青空文庫形式(いわゆる「テキスト版」)に改め公開した。 (http://koji-knowledge.jp/public_html/txt/) また、『古事類苑』の全引用書を調査・分析を進め、当該書の編纂にあたり井上頼圀所蔵の本を以て校正せしめたという「古事類苑編纂事歴」の記載を、神宮文庫に残る古事類苑稿本や無窮会図書館蔵の井上文庫、国会図書館蔵の古事類苑稿によって検証することで、『古事類苑』編纂にあたり使用された原本との比較して典拠となった原本を同定した。 これらは神宮文庫に収められている『古事類苑』編纂室についての関連資料だけでは分からなかったことであり、現代ではほとんど目にすることの叶わない大規模辞書編纂の過程を跡付ける貴重な資料群の再発見と意義づけられる。 『古事類苑』の編纂は、近世国学から近代古典学への過渡期に試みられた、集団作業による大規模百科事典で、幾度かの中断の危機を経ながらも完結とした点でも重要な意義を持つ。本研究においては、『古事類苑』の全引用書名データのほかに、それと関連の深い、その校勘に使用された無窮会図書館の井上文庫目録データのほか、神宮文庫に収められる『古事類苑』編纂室購入の資料目録を入手したほか、『古事類苑』の編纂期に進んでいた神官養成のための学校に構想された皇典考究所の一つ、長崎分館となった諏訪神社の蔵書群も、『古事類苑』に引用された書群との類似性が高く、その意味で、日本の前近代における知識体系を考究するのに、『古事類苑』は格好の素材と言える。
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Research Products
(3 results)