2020 Fiscal Year Research-status Report
The Research on the Psychosocial Effects of Historic Preservation Activities on the Elderly and Local Residents
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19K21645
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 大介 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (50374872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正恵 石巻専修大学, 人間学部, 教授 (00211946)
Morris John.F 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (30220057) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 歴史資料保全 / 心理社会的支援 / 学際連携 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)報告書「歴史資料保存と災害支援 歴史資料保存活動がなぜ、災害に強い地域づくりに貢献できるか」の公開:2020年10月、研究協力者のJ.F.モリスが、2015年10月に採択された防災のための「仙台行動枠組み」の再解釈、および災害時に実施される歴史資料レスキューの意義を、21世紀の国際機関における災害支援の基調して位置づけられる「心理社会的支援」の観点から、効果的かつ日常の中での災害支援として再評価する報告書をWeb公開した。 (2)論文の公表:研究代表者の佐藤が、宮城県で約20年間参加してきた地域での史料レスキュー活動について、東日本大震災前後での活動、および被災者に対する心理社会的支援としての側面から振り返る論考を公表した。 (3)ユネスコ「世界の記憶」部門ニューズレターへの寄稿:災害・紛争などによる保存の懸念に直面する記録遺産の防災・保全に取り組むユネスコ「世界の記憶」部門からの依頼により、研究代表者の佐藤および研究協力者のJ.F.モリス、上山眞知子の連名により、東日本大震災に際しての史料レスキューの実践に関する論文1編、および佐藤の単著による、東日本大震災被災地における史料レスキューの実施状況に関する論文1編を寄稿した。 (4)国内外の文化財防災セミナーでの講演:研究成果を踏まえ、研究協力者のモリスが、2020年5月にユネスコ「世界の記憶」部門の招聘によるオンラインセミナーにて、また8月には国立文化財機構の招聘によるセミナーにて、心理社会的支援の観点から、史料レスキューにおける専門家の初動支援や活動の意義について講演を行った。また佐藤は、2021年2月に開催された全国史料ネットセミナーにて東日本大震災後10の活動を振り返る講演を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、理社会的支援としての歴史資料レスキューの位置づけに関する基本的な考え方の普及について多くの成果を上げることが出来た。しかし、歴史資料保全に参加する市民ボランティアに対する聞き取り調査が、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう活動の休止や、高齢者が中心であることにともなう調査先からの自粛要請によって、ほぼ実施できず、研究に必要なデータをほとんど得られていない状況にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
市民ボランティアに対する聞き取り調査の実施は、本研究の核をなす重要な研究活動である。しかし、2021年4月時点において、研究代表者・分担研究者の所在する宮城県・仙台市における独自の非常事態宣言のため、引き続きボランティア活動は休止状態にある。さらに、全国的な感染拡大の中で、宮城県外での調査も制約が続くことが確実である。感染予防、さらには先方の感情にも配慮しつつ、可能な範囲での聞き取り調査を模索することになる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、予定していた聞き取り調査や、海外での研究発表のための出張が不可能になったため。
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