2020 Fiscal Year Research-status Report
日本に水田稲作が導入された当時とその後における日本列島での稲の姿の復元
Project/Area Number |
19K21649
|
Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
稲村 達也 奈良県立橿原考古学研究所, その他部局等, 特別指導研究員 (00263129)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 憲一 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 指導研究員 (20372170)
絹畠 歩 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 主任研究員 (50638103)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | X線CT / SPring-8 / 弥生時代 / 稲作 / 出土米 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本に水田稲作が導入された当時とその後における日本列島での稲の姿(籾の粒形、草形、一株当り収量)の時空間的変遷を解明・評価する。そのために、日本の初期水田稲作に由来する出土米ブロックおよび出土稲わらブロックを対象とした高精度なX線CT計測をSPring-8で実施する。そして、出土米ブロックおよび出土稲わらブロック内の籾、穂、穂軸、穂首の構造を非破壊で詳細に計測することにより、当時の稲の生育と収量に関連する形質の形態学的特徴を解明する。同時に、その生育・収量関連形質から当時の稲の生育状況や収量を予測するモデルを開発し、日本に水田稲作が導入された当時とその後における稲の姿の日本列島での変遷を高い精度で解明し、その結果を評価することを目指す。そして、それらの成果を広く公開し社会的関心に応えることを目的とする。 そのために、本年度は以下の研究を実施した。 ①弥生・古墳時代の遺跡(大中の湖南遺跡、横隈山遺跡、安良遺跡、惣の尻など)から検出された出土米ブロックおよび出土稲わらブロックの内部構造をSPring-8でのX線CTにより非破壊で撮影しX、Y、Z方向の2次元連続画像を取得した。 ②ブロック内の穂などに残存している、一穂収量およびそのイネの草形と深くかかわる微細構造の残存を確認し、その解析をすすめた。 ③生育と収量関連形質の形態学的特徴から稲の草形や収量を予測するためのモデルの改良をすすめた。 ④得られた成果の公開をすすめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本の初期水田稲作で使用されていたイネの生産力の復元に必要な、イネの形態形成に関わる農学的・考古学的データを網羅的に得ることができた。しかし、新型コロナウイルスとの関係で、モデル開発に必要な圃場試験が実施できず、この後の研究の進展への影響が懸念される。
|
Strategy for Future Research Activity |
得られた解析結果を出土した遺跡内や遺跡間、地域間、年次間などで比較することで、日本に水田稲作が導入された当時とその後における日本列島での稲の姿(籾の粒形、草形、一株当り収量)の時空間的変遷の解明・評価をすすめる。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスとの関係で、モデル開発に必要な圃場試験が計画通りに実施できなかったため。次年度は、新型コロナ下でも圃場試験が実施できるように栽培規模を縮小して対応する。
|