2019 Fiscal Year Research-status Report
Study of Ibn Sina's Qanon of Medicine: As a basis for comparison of Eastern and Western Herbalism
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19K21653
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
橋爪 烈 千葉科学大学, 薬学部, 講師 (10613862)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | イブン・スィーナー / 医学典範 / アラビア語医学書 / アラビア語薬学書 / ガレノス / フナイン |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は『医学典範』写本の構成を確認すべく、写本蔵書数の多いトルコ共和国イスタンブル市にあるスレイマニイェ図書館での調査を第一の作業に据え、また近隣諸国の図書館での写本調査を行った。 スレイマニイェ図書館所蔵分に関しては、暫定版ながら写本書誌情報をまとめたリストを作成した。現状54写本および刊本のデータを収集し、内二つは所在不明、4写本は未見であるが、残り48写本についてはおおよその構成を把握している段階である。この成果については、Researchmapの個人ページにて公開している。この他、トルコ近隣の北マケドニア共和国スコピエ市の聖クレメント・オフリド図書館およびコソヴォ国プリズレン市バイラクル・モスク所蔵の写本について、短時間ではあるが閲覧し、医学関連書籍の存在を確認した。またイブン・スィーナー以前の医学書・薬学書、その他関連分野のアラビア語写本の調査を行うべく研究協力者1名の協力を得て、ジャービルの諸作品、ガレノス諸作品のアラビア語写本調査を行った。 またアラビア医学史全般の流れと医学関連用語や研究動向を把握すべく、Manfred Ullmann著Islamic Medicineの翻訳を行い、この翻訳書の出版に向けて出版社と調整を進めている。 加えて、イブン・スィーナーに限らないが、医学をはじめ科学の分野に携わる学者が如何に権力者に見いだされ、その知識や彼らの人脈が利用されたかについて、主に10世紀の事例から明らかにした論考を作成し、すでに雑誌に掲載されている。これについては成果の欄を参照されたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症蔓延の影響で令和2年3月の海外調査の期間を縮小したため、遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、海外写本調査が2020年度は見込めないので、国内での研究活動がメインとなる。現在交渉中の翻訳書の刊行が決定すれば、それに一部予算を充てることを考えているが、国内でも移動の制限があるため、十全な予算執行には至らないと考える。このため、今年度(令和2年度)の研究活動は一時中断を含めた方策を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本助成金の交付決定が令和元年7月9日であったため、夏季休暇中の海外写本調査の計画が遅くなり、期間を短くしたこと、また令和2年初頭より広まり始めた新型コロナウイルス感染症蔓延の影響で、春季休暇中の写本調査を延期したこと、以上の理由で令和元年度の使用額が少なくなった。
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Research Products
(2 results)