2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Ibn Sina's Qanon of Medicine: As a basis for comparison of Eastern and Western Herbalism
Project/Area Number |
19K21653
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
橋爪 烈 関西大学, 文学部, 准教授 (10613862)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
|
Keywords | イブン・スィーナー / イスラーム医学 / 医学典範 / アラビア語写本 / 本草学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで新型コロナウィルスの蔓延状況に鑑み海外調査を延期していたが、2023年度を研究期間の最終年度と定め、夏季休業中の写本調査を計画した。このため、23年5月に筑波大学で開催された第39回日本中東学会年次大会に参加するとともに、夏季調査のための打ち合わせを行った。8月上旬から下旬にかけて、トルコ共和国スレイマニイェ図書館での写本調査を行うと共に、トルコ南東部および中北部の諸都市(ボドルム、クシャダス、アイドゥン、マニサ、ペルガマ)、ギリシア共和国のエーゲ海地方にあるコス島およびレスボス島を訪れ、医学関連図書館や博物館での図書及び史跡調査、また現地の植生視察を行った。上記のうち、コス島はギリシアの医学者ヒポクラテス生誕および活動の地であり、またペルガマは同じくローマ時代の医学者ガレノスが生まれ育った土地として、両者の生活環境に存在したであろう植生を目の当たりにすることを目的とした。これは両者の著した書物中に多くの薬剤の基となる植物に関する情報が含まれているためであり、アラビア語本草学書の内容にその多くが収録されていることから、その情報の起源に触れる試みを行ったことになる。トルコでの調査後、10月に開催されたオリエント学会において、イブン・スィーナー著『医学典範』第2巻に収録された薬用植物等の内容を、彼の前後の時代の本草学書の内容と比較検討した成果を報告した。また、24年3月には、『医学典範』写本に見られる各種の特徴を比較し、校訂テキストの決定版を作成するために必要な作業と現在の課題についての報告を行った。上記の通り、新型コロナウィルスの影響で、海外での写本調査がほとんどできず、そのため、『医学典範』写本の収集も思うように進まず、また比較検討のための各種本草学書の写本の収集もわずかにとどまった。
|
Research Products
(4 results)