2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation on marriage system including the movement of the person using the fluorine analysis of teeth
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19K21657
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Research Institution | Tohoku University of Art and Design |
Principal Investigator |
青野 友哉 東北芸術工科大学, 芸術学部, 准教授 (60620896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 和久 九州大学, アイソトープ総合センター(伊都地区), 学術共同研究員 (80112291)
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
澤田 純明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 准教授 (10374943)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 歯牙フッ素分析 / 古病理分析 / 湧水の水質分析 / 先史時代の人の移動 / 婚姻システム / 縄文時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、愛知県内の縄文晩期人骨の歯牙フッ素分析と遺跡に近接する湧水・河川の水質分析を行なった。対象とした遺跡・人骨は、田原市伊川津貝塚(21体)、名古屋市玉ノ井遺跡(3体)、西尾市枯木宮貝塚(4体)である。分析個体は可能な限り男性・女性が均等になるように選定し、歯種は下顎第二小臼歯とした。このうち、今年度は伊川津遺跡の21点について歯牙フッ素分析を行なった。 作業はまず、5方向からの写真撮影および模型作成用の型を作成し、エナメル質の表層・内層から1mgを目安にフッ素分析用の試料を採取した。試料のフッ素濃度測定は全点が成功し、伊川津貝塚人骨は比較的フッ素濃度の低い個体が多く、遺跡周辺の湧水のフッ素濃度の低さとも整合的であった。これを受けて、現在はフッ素濃度の高い少数の個体が遺跡外からの移入者と言えるかについて、考古学的な諸属性との照合を行なっている。 また、愛知県内の地下水のフッ素濃度を調べるため、遺跡周辺の湧水等の採水を行なった。採取地点は渥美半島が9箇所、名古屋市・豊川市・西尾市・蒲郡市が各2箇所の計17箇所である。フッ素分析の結果は、伊川津貝塚が存在する渥美半島は0.02~0.12mg/lと全国各地と比較して特に高い地域ではないことがわかった。なお、予定していた県内全域の採水ができなかったことから、自然水のフッ素濃度の地域的傾向と出土人骨との関係についての検討は2020年度に持ち越すこととなった。 また、古病理分析においては、伊川津貝塚を中心に、東海地方と関東地方の縄文晩期人骨についての調査を行い、歯牙フッ素症及び齲歯のデータを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年2~3月に予定していた採水調査は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて中止したが、すでに採取していた試料の分析と考古学的な検討を実施し、成果が得られているため順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに採取している名古屋市玉ノ井遺跡(3体)と西尾市枯木宮貝塚(4体)の人歯のフッ素濃度を測定し、伊川津貝塚との比較を行う。また、愛知県内の採水調査は、フッ素を溶出する黒雲母を含む花崗岩地帯(岡崎市など)を中心に行い、地域的特性を把握する。古病理分析は、対象遺跡を増やして歯牙フッ素症と齲蝕のある人骨の事例を集成する 最後に上記の分析結果と考古学的な属性を照合し、縄文時代における人の移動と婚姻システムの解明に向けた検討を行う。
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Causes of Carryover |
2020年2月から3月まで予定していた愛知県への試料採取が新型コロナ感染症防止の観点から延期することとなったため、旅費に減額が生じた。予定していた試料採取は2020年度に行うこととする。
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Research Products
(11 results)