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2020 Fiscal Year Research-status Report

Towards Constructing a Housing Safety Net based on Service Hubs for Work, Housing and Welfare

Research Project

Project/Area Number 19K21668
Research InstitutionOsaka City University

Principal Investigator

水内 俊雄  大阪市立大学, 都市研究プラザ, 教授 (60181880)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 渡辺 拓也  特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (70622067)
Project Period (FY) 2019-06-28 – 2022-03-31
Keywords社会包摂 / 生活困窮者自立支援 / 就労による包摂 / 不安定居住 / 福祉による包摂 / 外国人
Outline of Annual Research Achievements

コロナ禍の影響を見るというタスクが新たなに加わったが、初年度に引き続き、分析対象は同様に設定し、4つの調査対象を分業体制により実施した。利用層の労働稼動力の高低と、ハウジングを介した支援の多少でできる4象限マトリックスで、4つの利用者象を対象とするモデルに従っている。
第1にⅠ象限(稼働力高、支援少)については、職住一体化した(請負派遣)社員寮のサービスハブ化を通じた社会化の実態を、昨年度と同じ事業所及び新たに開拓しての訪問ヒアリング調査から明らかにした。少なくとも訪問事業所におけるコロナ禍の影響はあまり見られなかった。また初年度の事業所ヒアリングの全文字起こしを行い、アーカイブ化を行った。
第2に、Ⅱ象限(稼働能力高、支援要)や、Ⅳ象限(稼働能力低、支援少)に位置する層への社会的就労の導入効果の検証となる。前者については、生活困窮者自立支援の総合窓口での利用者によるQRコード読み取りで協力を得るという手法を取った。コロナ禍の影響が相当大きく、不安定居住に陥る恐れ、あるいは生活保護に至る可能性の高さを表明する率が高かった。Ⅳ象限の層の調査については、調査対象としたNPO組織は、ⅡとⅣの中間のようなところで相当密度の濃い支援が実施され、その就労復帰とその後の継続の率高いことが判明した。
なおコロナ禍の影響は1象限の支援からは無縁であった層を直撃した。外国人も含め今のところ給付金や貸付金の波状の支援で当座をしのいでいる。来年度に向けてこのような層のフォローアップ調査に託することとした。
Ⅲ象限(稼働能力低、支援要)については、コロナ禍のⅠ象限への深刻な影響により、実施していない。
アウトプットについては、都市研究プラザのブックレット28号にて、迅速に分析結果を刊行した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

コロナ禍の影響は生活困窮自立支援の現場において、予期せぬ状況に接することになった。またヒアリング対象だけに絞ると、従前の不安定居住層の姿が見えなくなり、代わりに支援に無縁だった層の不安定居住を恐れるか、もはや生活保護に依存するしかないという危機意識が強くみられるに至った。特に4-6月の現場の大混乱とその後の鎮静化、そして給付や貸付の波状的な延長による現場の繁忙化についてリアルな記録は残せたといえる。特に外国人について、日系人においては仕送りができなくなるほどの仕事時間の減少に伴う収入減や、ベトナム人においてはアルバイト業の削減に伴う離職などの影響が大きかったことにより、各地で相談窓口への殺到があった。今のところ言語のコミュニケーションの困難を乗り越え、制度の利用が可能となったことが確認できた。
またコロナ禍における就労による包摂効果は影響を受けることが不安視されていたが、ヒアリングの結果を見る限り、特定の業種以外のマイナスの影響はそれほど見られなかった。昨年度調査で明らかになった派遣業者と福祉の窓口の連携については、窓口の緊急対応の多さもあってか、強化されたという情報は入ってこなかった。しかし両現場的には今後もこの連携は大変重要だとの認識には相違なかった。
本年度に新たに開拓できたルートは、株式会社形式での生活困窮者への仕事と家の紹介事業社へのヒアリングと、外国人への職業紹介を行うベンチャー企業へのヒアリングであった。こうした株式会社の社会的貢献と利潤を生みだすメカニズムへの着目が本格的に行われた。われわれの調査チームのネットワークで、こうした株式会社の社会的認知を高めることと、セーフティネット系とのインターフェースを持つことの重要性を、実践的に社会に伝え、こうした社会的企業の業務の充実化に貢献する役割を認識した。

Strategy for Future Research Activity

前代未聞のコロナ禍による雇用やセーフティネットを大きく揺るがす事態の中で2面目の調査を終え、生活困窮者自立支援制度にもとづく新しいセーフティネットが大車輪で動いたことが明らかとなった。もしこの制度がなければ対応に大混乱が起きていたと予測される。しかしながら事態は一向に改善しておらず、瞬発的にニューノーマル的制度導入により、殺到する需要に応えた。しかし、2年目になり困窮度が高まることによるセーフティネットへの重圧は、生活保護のほうにも寄りかかってくることが想定される。したがって本年度の研究においても、現場の最前線で今までのヒアリングで培った関係を生かしつつ、これをベンチマークとして継続的にパネル調査的なかかわりを継続していくこととする。
ベンチマーク機関におけるヒアリングというパネル調査のみならずである。生活困窮の窓口への来訪者へのQRコードを利用した調査は引き続き行い、SOSを発信された方の相談来訪以降のフォローアップは大変重要な知見をもたらすので、全国の窓口の協力を得て、引き続き実施する。
自立支援センターなどでの就労支援の効果の調査や、優良宿泊所の日常生活支援住居施設に転換した分における居住支援の調査については、コロナ禍がある程度収束しないことには調査を行う余地が見いだせず、この調査においては実施しない方向で考えている。
なおサービスハブ地域の地理的なあり方の検討については、理論的なことにもかかわり、挑戦的萌芽研究のミッションとして、公開ウェビナーを開催し、コロナ禍下におけるサービスハブ、コミュニティハブ的機能に関する実践的情報共有を行う予定である。ブックレットの刊行はアウトプットの迅速な伝達という観点で、引き続き行う。

Causes of Carryover

コロナ禍の影響もあり、縮減して予算化していた旅費がほとんど使用できないまま、その分を一昨年度のヒアリングの文字起こし経費として計上したが、予算を使えない状況となった。今年度において旅費は絞り気味に計上しており、旅費の分を調査ヒアリングの文字起こしの徹底化と、そのテキスト分析への委託経費として使用計画に反映している。

  • Research Products

    (11 results)

All 2021 2020 Other

All Journal Article (3 results) Book (7 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 大阪の公共空間の現在──都市下層をとりまく三つの出来事から2021

    • Author(s)
      渡辺拓也
    • Journal Title

      寄せ場

      Volume: 30-31 Pages: 91-110

  • [Journal Article] 寄せ場はどこへ向かうのか─―2017年8月28日寄せ場学会合同書評会2021

    • Author(s)
      白波瀬達也・原口剛・渡辺拓也・北川由紀彦・西澤晃彦・結城翼・綱島洋之
    • Journal Title

      寄せ場

      Volume: 30-31 Pages: 5-71

  • [Journal Article] 書評 山口恵子・青木秀男編著『グローバル化の中の都市貧困─大都市におけるホームレスの国際比較』2020

    • Author(s)
      水内俊雄
    • Journal Title

      貧困研究

      Volume: 25 Pages: 113-116

  • [Book] 分極化する都市におけるサービスハブの変容とイノベーションの力学―ウィーン・大阪から学ぶ―2021

    • Author(s)
      キーナー ヨハネス・水内俊雄
    • Total Pages
      156
    • Publisher
      大阪市立大学都市研究プラザ
    • ISBN
      9784904010426
  • [Book] 大都市における人口構造の変化と空間の変容 ―コロナ禍前後の都心とその周辺部及び外国人集住地区に注目して―2021

    • Author(s)
      陸 麗君・蕭 コウ偉・水内俊雄
    • Total Pages
      142
    • Publisher
      大阪市立大学都市研究プラザ
    • ISBN
      9784904010433
  • [Book] 分極化する都市におけるサービスハブの変容とイノベーションの力学―ウィーン・大阪から学ぶ―、水内俊雄、寺谷裕紀、コロナ禍における生活困窮者自立支援現場の激変―「基底のセーフティネット」としての役割の変化を予見する―2021

    • Author(s)
      キーナー ヨハネス・水内俊雄
    • Total Pages
      156
    • Publisher
      大阪市立大学都市研究プラザ
    • ISBN
      9784904010426
  • [Book] 分極化する都市におけるサービスハブの変容とイノベーションの力学―ウィーン・大阪から学ぶ―、奥村健・岡本友晴・水内俊雄、生活保護施設/あいりん体制を大阪市北部のサービスハブ地域から見る―1970 年代中半から2010 年代までを回顧して―、105-135頁2021

    • Author(s)
      キーナー ヨハネス・水内俊雄
    • Total Pages
      156
    • Publisher
      大阪市立大学都市研究プラザ
    • ISBN
      9784904010426
  • [Book] 大都市における人口構造の変化と空間の変容 ―コロナ禍前後の都心とその周辺部及び外国人集住地区に注目して―、在日外国人による医療サービス利用の実態と課題―株式会社YOLO JAPANによるアンケート調査の分析から、41-56頁2021

    • Author(s)
      陸 麗君・蕭 コウ偉・水内俊雄
    • Total Pages
      142
    • Publisher
      大阪市立大学都市研究プラザ
    • ISBN
      9784904010433
  • [Book] 社会再構築の挑戦──地域・多様性・未来、渡辺拓也、第7章 釜ヶ崎とジェントリフィケーション──下層労働のゆくえ、pp.101-1152020

    • Author(s)
      谷 富夫、稲月 正、高畑 幸
    • Total Pages
      440
    • Publisher
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623089420
  • [Book] 分断都市から包摂都市へ―東アジアの福祉システム―、水内俊雄・寺谷裕紀、大阪・東京大都市圏の分極化の動態と脆弱層に向けたサービスハブ地域の変容、pp230-2482020

    • Author(s)
      全泓奎編
    • Total Pages
      346
    • Publisher
      東信堂
    • ISBN
      978-4-7989-1670-5
  • [Remarks] 都市研究プラザの刊行物、ブックレット27,28号

    • URL

      https://www.ur-plaza.osaka-cu.ac.jp/publications-and-archives/booklet/

URL: 

Published: 2021-12-27  

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