2019 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation and Reconstitution of Existing Models of Urban Structure in Japan Using Machine Learning
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19K21671
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
桐村 喬 皇學館大学, 文学部, 准教授 (70584077)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 都市圏 / 都市内部構造モデル / 小地域統計 / 地理情報システム(GIS) / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の都市の内部構造に関する研究においては、従来、バージェスの同心円モデルやホイトの扇形モデルなどを念頭に置いた、同心円やセクター(扇形)という地理的パターンの基準をもとにして、分析、解釈がなされてきた。一方で、近年の日本の大都市圏においては、人口の停滞や減少など、その内部構造を大きく変容させる現象が生じており、従来的なモデルやパターンの捉え方が適当ではなくなっている可能性がある。そこで、本研究では、従来の都市内部構造モデルや典型的パターンの日本の都市に対する適合度について、機械学習の手法を援用して定量的に評価するとともに、様々な規模の日本の都市を対象とした機械学習による都市内部構造の分類を通じた、新たな都市内部構造モデルの構築を目指している。 2019年度は、都市内部構造分析のための機械学習手法の開発と、従来モデルの日本の都市への適合度の評価を進める計画であった。前者に関しては、大規模な演算処理のためのハードウェア環境の整備を進めたのちに機械学習ツールを作成した。そのうえで、同心円やセクターなどの典型的なパターンの学習を行い、その学習結果に、日本のいくつかの大都市圏における実際の居住者特性の分布パターンを適用して、それぞれに対する典型的パターンの適合度を求めた。その結果、機械学習による単一時点の適合度の算出は、現時点では必ずしも解釈しやすい結果をもたらしていないと考えられるが、今後、手法の改良を進めていくことで改善していく予定である。また、既往研究の蓄積のある二大都市圏について、同じ学習結果に基づく適合度の時系列変化を検討すると、すでに指摘されてきた社会経済的状況に関する指標の同心円・凝集的パターンへの推移が確認でき、本手法の一定の有効性が示された。この研究成果については、英国で開催される国際学会において発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ハードウェア環境の整備が納入業者の都合により若干遅れ、結果として機械学習手法の開発にも若干の遅延が生じた。また、研究実績の概要に示したように、機械学習によるパターンの学習と、その結果に基づく都市圏の居住者特性の空間的なパターン認識を行い、一定の成果を得たが、成果発表は、RGS-IBG Annual International Conference(英国)で2020年9月に発表予定であったものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、2021年に延期になっている。また、同様に、2020年2月以降、国内出張も困難になってきたことから、予定されていた現地調査の大部分が実施できなかった。そのため、研究の進捗状況には若干の遅れが生じていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
機械学習手法の改良と、各大都市圏におけるデータの分析をこれまで以上に進め、生じてきた若干の遅れを取り戻す必要があると考えており、機械学習手法のチューニングなどについては、専門業者に委託するなどして、より迅速に研究を進めるための方策の採用も検討する。また、当初、2020年度に開始予定としていた、日本の都市内部構造の典型的パターンの抽出と都市のグルーピングと日本の都市の現状に基づいた都市内部構造モデルの再構築については、2020年度の後半に着手することとする。ただし、国際学会をはじめとして、出張を伴う学会発表が今後十分に行うことができないと考えられることから、研究成果は主に論文として発表していく予定である。同様に、2020年度は現地調査も難しいと予想されることから、地域ごとの新型コロナウイルスの感染状況について十分に吟味しながら、可能な範囲で進めていくか、現地調査が実施困難であっても、空中写真やGoogleストリートビューなども活用しながら、可能な限りの現地の状況把握に努め、当初の計画に沿って研究を遂行していく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年初頭以降の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国内出張が困難になってきたため、予定されていた現地調査や学会出張が取りやめとなり、次年度使用額が生じた。2020年度は、対象地域ごとの感染状況に留意しつつ、可能な範囲で現地調査を実施するとともに、研究成果の国際雑誌等への投稿のための費用として使用する計画である。
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Research Products
(1 results)