2019 Fiscal Year Research-status Report
AI related invention and patent law
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19K21674
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
潮海 久雄 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80304567)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | AI関連発明 / ソフトウェア関連発明 / 特許法 / 著作権法 / データ / 機械学習 / 深層学習 / 学習済みモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
日中学術交流で、AI関連発明の発明性と、発明者および権利帰属について研究成果を公表した。 中島裕美氏と共著で、「AI関連発明における特許要件」AIPPI64巻7号10-23頁を公表した。この共同研究では、わが国特許庁のAI関連発明、ソフトウェア関連発明の事例集を参考にしつつ、ソフトウェア関連発明との相違に着目した。その上で、AI関連発明の技術的特徴に応じて(モデルの入出力の相関関係、モデル、学習方法、AIにより創作した発明)4つに類型化し、主として進歩性要件、記載要件、発明の種類(プロダクトバイプロセスクレームなど)に即した問題点、およびAI関連発明特有の問題点を明らかにし、解釈論およびその限界を指摘した。さらに、AIによりなされる特許発明の発明者および権利帰属主体についても別稿で検討予定である。 また、特許法判例百選(第5版)で、AI関連発明で問題となりうる記載要件のうち、最も争いのある、サポート要件〔パラメータ特許事件〕について、判例分析を行い、わが国の裁判例の考え方をまとめた。 さらに、AI技術の実態、および、AI関連発明におけるデータ利用による学習済みモデルの実態を調査・検討した。その知見を用いて、機械学習(AI)でのデータ利用を念頭においた情報解析規定の著作権法改正への批判、および、将来AIにより創作される著作物の権利侵害の問題、AIによる著作物の権利主体に関する研究を公表した(「スリーステップテストからフェアユースへの著作権制限規定の変容―機械学習(AI)における情報解析規定の批判的検討―」民商法雑誌155巻4号679-722頁(2019年))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AI関連発明および特許の専門家との共同研究、およびソフトウェア関連発明の専門家や特許庁の専門家、欧米の専門家との交流を通じて、その発明および特許出願の実態について調査でき、理解が深まり、特許法上の多くの問題点を発見できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に引き続き、AI関連発明の技術内容、およびAI関連発明の特許明細書について調査するとともに、その理解を深める。特にAI関連発明とソフトウェア関連発明との異同に留意しつつ考察する。とりわけ、AI関連発明の保護が特許法に投げかけている諸課題について検討する。とりわけ、発明、新規性・進歩性、記載要件(実施可能要件、サポート要件、明確性要件)、技術的範囲等について、分析、考察を進める。また、欧州特許庁(EPO)、米国特許庁(USPTO)の動向についても検討の範囲を広げる予定である。
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Causes of Carryover |
2020年3月に、イギリス・ドイツに渡航し、ケンブリッジ大学法学部、マックスプランクイノベーション・競争研究所、ドイツ法律事務所を訪問し、資料収集、インタビュー、情報交換する予定であったが、世界的な感染症の影響で、渡航できなくなったために未使用額が生じた。 次年度は、特許法の各要件に関する詳細な研究を進めるために必要な、図書購入や調査費用にあてる予定である(AI関連発明の技術に関する図書購入、特許明細書の調査費用、特許法・著作権法に関する日本、海外図書の購入)。
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Research Products
(3 results)