2020 Fiscal Year Research-status Report
AI related invention and patent law
Project/Area Number |
19K21674
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
潮海 久雄 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80304567)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | AI関連発明 / ソフトウェア関連発明 / 進歩性要件 / 開示要件 / プロダクトバイプロセスクレーム |
Outline of Annual Research Achievements |
AI関連発明の特徴、とりわけソフトウェア関連発明と異なるデータ処理の重要性に着目して、特許法の基礎概念をどのように修正すべきかについて、3つの論考を公表した。 「特許法における進歩性要件の現代的課題―AI関連発明を中心に-」特許研究70号25-50頁(2020年10月)は、先行文献がネットで急増することに対応して後知恵防止のために画一的に進歩性を判断するよりも、無効で広すぎる特許が蔓延する弊害の方が大きいという視点および、発明性・開示要件の機能不全など他の要件の機能不全の視点から、進歩性において、文献以外の技術常識や設計事項を活用したり、非技術的事項を進歩性を考慮しないことや、課題・解決アプローチの修正を主張した。 「AI関連発明の特徴と将来的課題―進歩性,開示要件,発明者」『ビジネスローの新しい流れ 片山英二先生古稀記念論文集』219-250頁(青林書院・2020年11月)では、AI関連発明の特徴が進歩性要件、開示要件、発明者性にどのように影響を与えるかという観点から考察した。とりわけ、AI関連発明での工夫(学習方法やデータの前処理など)で営業秘密にしたいものを、開示要件で特許明細書に開示させるべきか、開示させないと実施可能要件を満たさないおそれがあることを指摘した。 ・Nakajima Yumi, SHIOMI Hisao, Patentability Issues for AI-related Inventions in Japan, AIPPI Japan vol.46 No.2 (2021年2月)(査読あり)は、AI関連発明の技術的特徴に応じて4類型に分け、各類型について、進歩性・開示要件のほか、特許法上問題となる問題点をあげた。とりわけ、データの相関関係のみで特許を認めてよいかという点と、物の発明に効力を及ぼすことがその保護範囲が不明確になることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AI関連発明の実態(ソフトウェア関連発明)と、各特許要件(進歩性要件、開示要件、発明者)の両面から検討を行うことができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
AI関連発明の実態について、ソフトウェア関連発明と類似するシミュレーションの発明を検討する。欧州特許庁の拡大審決を参照し、かつ、アメリカ特許庁の提出した報告書を参照するなど比較法の研究に力を注ぎたい。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、欧米への海外渡航が困難になっている点が、次年度使用額が生じた理由である。来年度の欧米の比較法研究に対応して、ドイツの知的財産法に関するデータベースの利用について使用することを予定している。
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