2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on institution and capacity building after systemic transformation
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19K21689
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中村 靖 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 名誉教授 (60189066)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 体制転換 / 行政機構 / 人的資源 / ドイツ統一 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はドイツ統一後の体制転換というコンテクストの中で国家機構,行政機構における人材の量的,質的不足にドイツ連邦がどのように対処したかを,現地における公文館書資料の収集とインタビュー調査によって研究することを計画,準備していた.新型コロナウィルス感染症拡大によりすべての訪独計画を中止せざるを得ず,その点で研究計画が予定通りに進んだとは言い難い.しかしながら,その時間を活用して,すでに収集済みのドイツ連邦公文書館公文書館資料の整理・データベース化,公刊資料の分析等を進め,研究の土台を築くことができた.またこの時間を利用して,2019年度に汎用の空間経済分析ツール(ECAT)の開発,2020年度に女性教育,人口増加,経済成長の関連性についての汎用の統計モデルを開発した.どちらのモデルも分析は世界の国別のデータを用いたものにとどまっているが,ドイツ統一前後のドイツのデータが入手できれば本研究に応用できる.2021年度は,ドイツ統一後の国家装置構築、経済再建について、何が本質的な問題であり、その問題を克服するためにいかなる費用がどれだけ必要だったかをマクロ的な観点からまとめて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症拡大により,ドイツにおける現地調査がおこなえない状況が続いている.最近の感染状況の変化により,2022年度には現地調査を行う可能性が高まった.ミクロ調査からマクロ分析へという当初の予定とは逆になるが,2021年度は上記のようにドイツ統一の金銭的費用,人的資源費用のマクロ的分析をおこなった.マクロ的分析では統一後30年契機として現れた新たな研究結果が利用でき,ドイツ統一について新たな理解を与えることができたと考える.しかし,やはり当事者達がどのようにみているかについては,現地調査を待つしかなく,この点で予定通りには進捗していない.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度におこなったドイツ統一における国家装置構築および経済構造転換費用のマクロ的評価についてのディスカッションペーパー(DP)を論文としてまとめる作業をおこなう.追加的分析の中心は,DP執筆時点で分析が終了していなかった統一後のドイツ全体の資金循環状況の把握と資本市場の効率性についての検討となる.加えて,現地調査の実現のためにベルリン・フンボルト大学を拠点として調査研究をおこなうための準備を進めている.
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Causes of Carryover |
コロナ感染症によりドイツでの現地調査を実施できない状況が続いている.感染状況の変化がみられるため,2022年度は現地調査を実施する方向で,ベルリン・フンボルト大学に協力を打診している.実施が可能になれば,広範なインタビュー調査等は時間的に困難であるため,連邦省庁を中心とするヒヤリングと公文書館での文献調査に絞って調査をおこなう.
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