2019 Fiscal Year Research-status Report
人工知能取引の影響を考慮した、価格発見過程の再検討
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19K21704
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
北村 能寛 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90409566)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 指値注文 / 成行注文 / improving order / order flow |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度は、指値注文板上でのイベントと為替レートの関係に注目して実証分析を中心に行った。この研究は未だ進行中であるが、これまでに得られた成果を日本ファイナンス学会第1回秋季研究大会(2019年11月)、4th Annual International Conference on High Frequency Exchange Rate Dynamics: Econophysics and Econometric Analysis Based on the EBS data sets(2019年12月)で報告した。これまでに得られた主な研究成果は以下である。第一に、市場最良気配を更新するimproving orderの回数から市場最良気配を悪化させるキャンセル回数を引いたnet improving orderの価格発見における役割の大きさが明らかとなった。これは市場環境の変化に迅速に対応することが可能な自動化された取引(automated trade)が支流となり、従来の成行注文の価格発見における役割が improving orderに移行していることを示唆するものである。
第二に、成行注文から計算されるオーダフローの価格発見における役割が低下していることが示唆された。オーダフローは、価格伝達の役割を担うものとして従来の研究では注目されてきたが、この従来の方向性に疑問を投げかける。
三番目の研究成果として、インターバンク為替取引システムであるEBSの特徴を考慮した理論モデルを構築した点にある。EBS市場においては成行取引はIOC(immediate or cancel)注文であり、一定条件下では、IOCに比較して指値注文のほうが期待利益が大きいことが理論的に示される。この理論的結果は、情報トレーダーがその情報有意性を利用する場合、成行取引ではなく、指値注文行うことを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未だ未完ではあるものの、研究課題に関する論文を書き上げた。またその成果は、日本ファイナンス学会第1回秋季研究大会(2019年11月)、4th Annual International Conference on High Frequency Exchange Rate Dynamics: Econophysics and Econometric Analysis Based on the EBS data sets(2019年12月)で報告した。以上の初年度研究活動内容より、本研究課題は「おおむね順調に進展している」と自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、追加データの購入・分析により結果の頑健性をより強化する。さらには、EURUSD, USDJPY市場に加え、近年取引高が大幅に増えたUSDCNH(人民元)市場の価格発見メカニズムについても分析を行う。USDCNH市場は、そのオンショア市場であるUSDCNY市場との関係から、他の2通貨ペアに比較して、価格発見メカニズムが異なるのか。異なるのであれば、その差異を説明する要因は何かを明らかにしたい。不確実な研究環境ではあるものの、研究内容を国際学会で報告することを予定している。
そして、これまでの研究で明らかとなった、「improving order」の価格発見における役割の重要性をより明らかとしていきたい。具体的には、米国失業率発表前後の注文板上の動きを詳細に分析することで、improving order、worsening cancelがオーダフローにくらべ為替レートとより関連の深い動きをすることを示す。つまりは、最初2つのオーダーが為替レートの価格形成において重要な役割を果たすことを具体的なイベント事例を用いて明らかとする。
そして、今年度の後半には、研究論文の国際専門誌へ投稿することを目標とし、研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
令和元年7月、データ販売会社のシステム統合計画遅れにより、システム統合後のデータを購入できなかった。研究遂行上、統合後に提供される詳しい取引内容が記録されたデータが不可欠な為、データ購入を2段階に分けて行うよう計画を変更。
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Research Products
(3 results)