2023 Fiscal Year Annual Research Report
会計不正防止のための知識の集積とスピルオーバーによる市場モニタリング制度の構築
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19K21705
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
薄井 彰 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (90193870)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | 会計 |
Outline of Annual Research Achievements |
会計不正(財務諸表等の不正表示)は、株主や債権者などの投資家、従業員、取引先、規制当局、税務当局、監査法人、顧客、その他のステークホルダーにとって重大な問題であり、国民経済や市場に多大な損失をもたらす。市場には、会計不正を防止するためのモニタリング制度やディスクロージャー制度が設置されている。本研究の目的は、組織や産業組織が会計不正を防止するための知識をどのように集積し、それらを市場全体にスピルオーバーすることによって、最適なモニタリングメカニズムを市場に構築する政策要件を明らかにすることである。コーポレートガバナンスの観点から、経営者の機会主義的な行動の抑制、会計不正防止のためのインセンティブ設計およびモニタリングメカニズム構築に関する研究を行った。本研究では、監査人の交代に関する基礎文献を収集するともに、日本の監査人の交代に関する研究データベースの構築、日本の会計不正に関するケース分析、および会計不正のプロセスの検証を行った。さらに、2000年代初頭以降、International Financial Reporting Standards (IFRS) が日本の会計制度に強い影響を及ぼしていることを鑑み、歴史的な観点から、IFRSが日本の会計制度と企業行動に及ぼした影響を検証した。また、経営者および従業員のモラルハザードを抑制するインセンティブメカニズムと虚偽報告を防止するモニタリングメカニズムが日本の近世商家の経営管理に既に組み込まれていたことが明らかになった。
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