2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on sustainability through the lenses of the business formation process of social entrepreneurship
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19K21708
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下田 恭美 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授(任期付) (30746483)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | 社会起業 / 持続可能な社会 / ソーシャルビジネス / 国際開発 / アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国境を越えて活動するアジアの社会起業/家(特に日本人)に焦点を当て、起業に至る社会的・経済的・文化的背景を考察し、事業の継続性との関係性を明らかにすることを目指したものであった。 2023年度は、データ収集の継続として、夏季休暇中にインドネシア(ジャカルタおよびバリ)において、数名の日本人社会起業家の活動現場を訪問して聞取り調査を行った。新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したこともあり、調査活動を比較的円滑に進めることができたと考えている。対面開催が延期されていた国際学会で、発表という形で対外発信する機会を得られ、有識者との意見交換などができた。 これまで収集したデータの分析から得られた成果として、1)社会課題を解決するために起業をするに至る動機およびその過程の多様性、2)特別な出来事、紐帯、アイデンティティ、自己実現、喜びといった共通の特徴があること、3)個人的関心と能力の影響、といったことが明らかになってきている。既存の研究にあるような英雄的な社会起業家像とは異なり、過去の経験や出会った人々との交流を通して、特定の課題(ある意味ニッチな課題)に気付く、あるいは巻き込まれるような形で次第に活動を始めて継続している事例が多くみられた。こうした本研究の成果は、社会起業家や社会的企業に係る研究に資するだけでなく、社会起業を目指す人々にとって示唆に富むものと考えている。また、ビジネス分野における人材育成やグローバル人材育成といった分野においても、直接・間接的に貢献できる視点を提供できると思っている。今後、更に分析を深め、関連する英文学術雑誌等に論文を投稿する予定である。
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