2019 Fiscal Year Research-status Report
経営者の下方リスク回避度の定量的測定とその決定要因ならびに企業行動との関係性
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19K21709
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山野井 順一 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (20386543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 祐介 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (80511302)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | リスク選好 / 経営者 / 下方リスク回避度 / 起業家的行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、経営者のリスク選好、時間選好を測定するための質問票の作成に注力し、予備的な調査を行った。経営者を対象とした大規模調査を行う前に、質問票の妥当性を確認するため、会社員を対象とした調査が必要であった。そのため、個人のリスク選好、時間選好を測定するためにMultiple price list formatの質問票を作成し、どのような値が適切か、回収率はどの程度かについて、100名程度の保険会社の外交員を対象とした調査を行った。結果としては、当初想定していた金額、確率の選択では十分にパラメータが特定できないケースが多々あったため、修正を行い、再度予備的な調査を行うこととなった。経営者の下方リスク回避度に影響を与える属性、および、起業家的行動に関する理論モデルの構築については、順調に推移した。先行研究の調査から、経営学の領域においては、経営者のリスク選好は、パフォーマンスの変動(variance)や極端な値(extremeness)への選好としてとらえられており、上方リスクと下方リスクに関する考察は必ずしも十分に行われていないことを確認し、両者を分けることでの新たな理論的な示唆が得られることを見出した。本年度は、これらの予備的調査と理論研究の結果を受けて、新型コロナウィルスによる影響が下半期に収まることを想定して、中小企業経営者を対象とした大規模調査を行い、理論モデルの定量的な検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備的な調査を実施し、想定通りの結果が得られ、大規模調査の準備が整ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度に作成したリスク選好、時間選好についての質問票を用いて、中小企業経営者を対象とした大規模な調査の実施を行う予定である。そのデータを用いて、下方リスク回避度に影響を与える要因ならびにその結果について、定量的分析を行う。
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Causes of Carryover |
質問票調査の実施が昨年度ではなく、今年度に延期されたため。
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