2020 Fiscal Year Research-status Report
経営者の下方リスク回避度の定量的測定とその決定要因ならびに企業行動との関係性
Project/Area Number |
19K21709
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山野井 順一 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (20386543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 祐介 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (80511302)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | リスク選好 / 起業家行動 / 時間選好 / 質問票調査 / 中小企業 / 経営者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究計画に従い、製造業並びに情報通信業に携わる中小企業約2万社の経営者に対して、リスク選好並びに時間選好を測定するための質問票調査を実施した。回答数はおよそ1800である。リスク選好並びに時間選好は、リスクへの感度、損失回避、時間割引率、現在バイアスなどを測定するものであり、合計6つのパラメータを特定した。現在の主要な発見のひとつとしては、同族企業と非同族企業の間でリスク選好に統計的に有意に差がみられた。また、同族企業内でも、創業者と二代目以降の経営者でリスク選好については差がみられた。これらの結果は、同族企業と非同族企業における企業行動の違いを説明するひとつの要因である可能性がある。さらに、同族企業内でも代が重なるにつれ、経営者のリスク選好について違いが生じていることで、創業者とそれ以降における同族企業内での企業行動の違いを説明する要因として、経営者のリスク選好の変化が機能する可能性がある。これらを踏まえ、「なぜこのような経営者のリスク選好の違いが生ずるのか」という点についての追加的な調査を行う必要性が存在しうる。また、企業の研究開発投資と起業家行動について、リスク選好、時間選好が与える影響を予備的に分析したところ、時間選好と研究開発投資ならびに起業家的行動との関係性がみられた。これらの行動は長期的な視点に立って行われる傾向が強いため、時間選好が有意に影響を与えていることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、約2万名の中小企業経営者に質問票調査を行い、リスク選好、時間選好のデータが取得できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度に入手できた中小企業経営者のリスク選好、時間選好データの分析を進めるとともに、ラグを取った起業家的行動のデータを取得し、リスク選好、時間選好との関係性について統計的検証を進める。
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Causes of Carryover |
2回実施する予定であった質問票調査が1回となり、次年度に実施することとなったため。
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