2021 Fiscal Year Annual Research Report
経営者の下方リスク回避度の定量的測定とその決定要因ならびに企業行動との関係性
Project/Area Number |
19K21709
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山野井 順一 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (20386543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 祐介 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (80511302)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | リスク選好 / 時間選好 / 社会選好 / 経営者 / 中小企業 / 起業家的行動 / 企業の社会的責任 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は研究課題の最終年度として、最後の質問票調査2回と研究のまとめを行った。2021年度に実施した調査に回答して頂いた中小企業経営者の企業1844社に対して2022年8月に追加調査を行った。回答者は経営者と従業員であり、回答者数は経営者が976名、従業員は494名であった。質問項目の内容は、当該企業の起業家的志向と企業の社会的責任の志向についてである。あわせて、2022年12月に同じく1844社の経営者にリスク選好、時間選好、社会選好、ビッグファイブや個人行動についての調査を行った。 暫定的な結果としては以下の通りである。第一に、経営者の社会選好がよりprosocialである企業は、企業の社会的責任に関する志向がより高かった。第二に、前述の経営者の社会選好と企業の社会的責任の関係性は、創業者ではなく、2代目以降の経営者のほうがより強かった。第三に、リスク選好、時間選好、社会選好については第1回調査と第3回調査について相関が有意に高く、安定的であることが見出された。第四に、経営者のリスク選好と時間選好については、企業の起業家的志向を有意には説明しなかった。 これらの成果を踏まえ、今後の追加的な分析として、経営者の心理的特性と企業の財務的パフォーマンスならびに企業の生存確率について、2022年度以降に分析を行う予定である。加えて、今後の研究課題として、経営者の心理的特性に変化を与える要因についての研究の必要性が見出された。
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