2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K21711
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山本 達司 同志社大学, 商学部, 教授 (80191419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 一統 大阪大学, 経済学研究科, 講師 (00748296)
田口 聡志 同志社大学, 商学部, 教授 (70338234)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 実験社会科学 / 経営管理 / 予算参加 / 業績評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
法律、条例等の社会制度は、構成員の社会的厚生を高めるために制定されるが、必ずしも、制度の意図が実現されてこなかった。それどころか、会計においては、企業と監査法人が一体となって会計不正を行うなど、会計不正の手段がより巧妙化している。このような状況が続くと、会計情報が「社会に不可欠な経済的インフラ」としての役割を果たせなくなる可能性が生じてしまう。そこで本研究プロジェクトの目的は、「公正な会計数値は、社会的厚生を高める重要な経済資源である」という認識のもとで、企業に公正な会計数値を開示させるためには、どのような会計制度の設計方法が望ましいかを明らかにし、その方法を会計規制設定機関に提言することである。 2020年度の研究計画は、従業員が虚偽報告を行う動機を理論研究により解明し、そのメカニズムを実験研究により検証することであった。理論的研究では主として、「従業員の予算参加行動が、従業員の心理的要因を通して、業績報告の真偽に影響を与える」ことが明らかとなった。実験研究では実験室実験とオンライン実験により、「粗雑なシグナルを用いた業績評価が、精緻なシグナルを用いた業績評価より、従業員に真実報告(truth telling)のインセンティブを与える」ことが検証された。そして、上記の研究目的を達成するためには研究方法論として、ゲーム理論を基盤とする理論研究と、人間心理を対象とする社会実験との融合が重要であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
著書(単著)1冊、著書(共同執筆)1冊、査読付学術論文1篇、その他の学術論文1篇を発表し、国内学会報告を1回行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究プロジェクトの最終年度として、過去2年度の研究成果を踏まえて理論研究、実験研究をさらに発展させ、企業に公正な会計数値を開示させるためには、どのような会計制度の設計方法が望ましいかを、会計規制設定機関に提言できるようにしたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルスの感染拡大により、次の事態が発生したためである。①学生被験者を集める実験室実験が行えなかった。②予定していた公認会計士に対するインタビュー調査が行えなかった。 次年度使用額と本年度分として請求した助成金を合わせた使用計画は、次の通りである。①現在も実験室実験を行える状況ではないので、オンライン実験による経済実験を行う。②インタビュー調査は、基本的に対面によるインタビュー調査を予定している。しかしコロナ感染の状況を鑑みて、オンラインに変更することもありうる。
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Research Products
(5 results)