2021 Fiscal Year Research-status Report
ICFに基づく情報把握共有システムの発達障害支援における実践検証と活用方法の検討
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19K21713
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安達 潤 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (70344538)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | ICF(国際生活機能分類) / 発達障害 / 多領域連携・多職種連携 / 社会実装 / ICFコアセット / 強度行動障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の実績の中心となるのは、ASD・ADHDコアセットを導入したICFシステムの活動と参加シートおよび環境因子シートのICF項目について、「支援に係る有用性評価調査」を現場の支援者を対象に実施し、ICFシステム活用の際の情報把握の優先度で群分けし、活用の労力を減ずるシステム改訂を行ったことである。調査は(1)就学前の支援機関に加えて、(2)強度行動障害者の支援事業所でも行い、(1)では0-5歳版の、(2)では強度行動障害者版の多段階式のコアセット導入版ICFシステムを作成した。方法は、支援に「有用である」「有用でない」を両極とする5段階リッカートによる評定を求め、評定平均値順に項目を並べ替え、3つの段階に整理した。 (1)0-5歳版については、コアセット導入版ICFシステムの0-5歳版シートの活動と参加54項目および環境因子40項目について、児童発達支援事業初2箇所の支援職員および当該地域の行政レベルの発達支援事業に係わる支援職員の計19名に評定を求めた。活動と参加項目の評定の総平均値は1.73[範囲:1.06,2.67]であった。全体に2.0未満の項目が多く、第1選択をA・Bの二つに分け、第2選択、第3選択との構成とした。環境因子項目の総平均値は2.20[範囲;1.17,3.61]であった。第2選択の項目数が少なくなったが、大凡、3段階に整理できた。(2)強度行動障害者版については、コアセット導入版ICFシステムの活動と参加および環境因子の全項目について、年齢帯を考慮せずに強度行動障害の支援に係る有用性評価を求めた。調査協力者は強度行動障害支援の14事業所に在職する支援員14名である。活動と参加の総平均値は2.27[範囲;1.36,3.69]、環境因子は総平均値1.77[範囲;1.29,3.07]で、両シートについて3年齢帯とも、大凡3段階に整理できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は当初2020年度に予定していた内容を実施する計画であったが、コロナ禍が消退せず、コアセット導入版ICFを全国数カ所の発達障害支援事業所において試用してもらうことは行えず、システム改訂に係る限られた調査のみを行った状況となっている。但し、ICFシステムの活用普及の鍵である労力の低減につながる多段階式のコアセットが作成できたことは次につながる成果と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は延長申請の1年度間であり、限られた時間の中で研究を進めていくことが求められる。そのため当初の進行計画を若干修正し、2019年度より得られたデータに基づいてICFシステムのクラウド化を進める。クラウド化に反映させるデータは、愛知県碧南市で2018年度からICFシステムを活用して4年度間連続で実施している「発達障害児者地域生活支援モデル事業」で得られたデータを碧南市の許可を得て援用するとともに、令和2年度から分担研究者として関わっている厚生労働科学研究である「強度行動障害者支援に関する効果的な情報収集と関係者による情報共有、支援効果の評価方法の開発のための研究」におけるICFシステム活用に関して本研究の枠組みで行った調査で得られた使用評価データを使用する。マニュアルについては、クラウド化を進める作業と並行して、暫定版を作成する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染状況が消退しなかったために、当初予定していた、全国数カ所でのICFシステムの試用評価が実施できず、限られた地域のみでの実践に遠隔手段を主要に関与することしかできなかったため、出張旅費が使用できなかったことに加え、本研究助成による実践活用からデータを得ることができず、システムのクラウド化に着手できなかったことが理由である。2022年度は、延長申請の1年度であるため、データを取得した地域範囲は当初計画よりも狭くなるが、現在までに、研究代表者が関与しているICFシステム活用実践(愛知県碧南市における発達障害児者地域生活支援モデル事業および厚生労働科学研究である強度行動障害者支援に関する効果的な情報収集と関係者による情報共有、支援効果の評価方法の開発のための研究)で得られたデータにより、クラウド化に着手する。その後、時間的余裕があれば、クラウド化されたコアセット版ICFシステムによる小規模の試用を行い、そこに謝金と出張旅費を使用する。
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