2019 Fiscal Year Research-status Report
民族誌データと数理モデルの融合による社会構造変動理論の構築:格差に着目して
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19K21715
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
瀧川 裕貴 東北大学, 文学研究科, 准教授 (60456340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛塚 和宏 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 講師 (00805244)
藤岡 悠一郎 九州大学, 比較社会文化研究院, 講師 (10756159)
田村 光平 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (60725274)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 不平等 / 災害 / 極端な気象現象 / 格差 / モンゴル / ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題の目的は、人間の社会構造における多様性の発生要因および発生過程を、とくに格差に注目して長期的スケールで説明可能なモデルを構築することである。社会構造に関する既存研究では、各分野の手法やデータの制約により、描き出される社会像が異なる。文化人類学や社会学は、個々人のマイクロな相互作用によって構成される社会像を持つ。人間行動について深く記述できる一方で、社会構造の変化に比べれば短い時間スケールのデータしか得られない。他方、長い時間スケールのデータを提供する考古学や自然人類学は、個人の行動を特定することができないため、個人レベルの相互作用を特定することは難しい。その結果、社会の状態を分析単位としたマクロな研究にならざるをえない。そこで本研究では、数理モデルを用いることで、このマイクロとマクロのギャップを埋めることを試みる。具体的には,(1) 産業化されていない複数の社会を対象とする現地調査およびデータセット構築、(2) ゲーム理論に基づく数理モデルの構築、の二つの方法を柱として研究を進める.当該年度は,(1)について,研究協力者の行ったモンゴル調査のデータ分析を行った.結果として,モンゴルにおいては,自然災害(雪害)により,家畜所有に関する不平等が発生したことが明らかになった.(2)については,データで明らかになった家畜所有の不平等のメカニズムを明らかにするために有効と思われる先行研究のレビューを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は現地調査の準備と数理モデルの先行研究のレビューを予定しており,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は現地調査を実施する予定である.しかし,新型コロナ感染症拡大のため,現在,現地調査を実施できるか不透明な状況である.もし実施できない場合は,文献調査や既存調査のデータ分析で得られた知見を下に数理モデルの構築を進める.
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせの回数が当初見込みより少なかったため,旅費分の経費が余った.今年度の調査旅費に充当する.
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