2019 Fiscal Year Research-status Report
大規模社会調査における欄外記入文のデータ化と分析手法の探究
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19K21720
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 摂子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70323813)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 災害研究 / 大規模社会調査 / 福島県 / データ・アーカイブ / 二次分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である本年度は、研究を始めるにあたり、福島県双葉地方調査の原票資料を本学に借り受けるため福島大学にて「試料・情報提供に関する倫理審査」の申請を行った。並行して、福島大学から借り受けた原票データにもとづいて研究を進めるため、東京大学で「研究倫理審査」の申請を行った。 両大学から計画の承認を受けた後、研究に着手した。今年度は主に原票の電子化作業を集中的に進め、全体の1.3万票のうち、およそ3/4にあたる1万票ほどの電子ファイル化が終了した。 原票の電子化作業と並行して、原票の欄外記入文のチェックを進め、各票における欄外記入の有無の確認、さらに欄外記入が確認された場合、原票における記入箇所、および記入された文章の内容にもとづいていくつかのパターン分けをおこなった。その結果、欄外記入文は、主に調査票における回答の補足、宛先のある不満や要求・憤り(国の対応、東電の姿勢、また調査に対する不満)、および宛先のない不安(健康悪化、疲弊、故郷喪失、未来への漠然とした不安)に大別されることがわかった。 また、すでに電子化されている欄内の自由回答欄の記述について、原票と照合しながら誤記入がないかデータクリーニングを進めると同時に、文章内に個人情報(あるいは複数の情報が重なることで個人の特定につながる要配慮情報)にあたる記述が含まれていないかの確認作業を並行して開始し、本研究終了後に予定されているアーカイブセンターへのデータ寄託準備に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
もっとも大きな時間と労力のかかることが予想された原票の電子化作業に、一応の目処がついたことから研究はおおむね順調に進展していると言える。ただし欄外記入文の内容についての精査にはまだ着手できていない段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
本調査データのアーカイブ寄託に向けては、原票に書き込まれた自由回答記述について、すでに文字で電子化されている部分と電子化されていない欄外記入文の両方を含め、個人情報にあたる記述が含まれていないかの精査・確認作業が必須となる。また、確認された個人情報について電子ファイル上から削除する作業も並行して進めていく。
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Causes of Carryover |
学生への謝金として確保していた予算に多少の余裕が生じ、来年度分の作業に回すこととした。また、年度末に計画されていた出張等が新型コロナ感染拡大を受けて急遽中止となった。
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