2019 Fiscal Year Research-status Report
社会調査と空間データをもちいた都市モビリティと貧困・社会的孤立の分析
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19K21727
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
川野 英二 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (20335334)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 都市 / モビリティ / 貧困 / 社会的孤立 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「社会調査と空間データをもちいた都市モビリティと貧困・社会的孤立の分析」の目的は、社会調査データと空間移動データを組み合わせて、大都市におけるセグリゲーションが拡大していると言われる状況のなかでの、モビリティの社会的不平等に関する分析を行なうことである。 本研究では、対象地域、とくに困窮地区の住民がどのていど空間的に移動しているのか、移動に社会的な格差が存在するのか(社会的孤立仮説)を検証するため、モバイル空間統計データおよび「人の流れデータ」を利用して分析モデルに加える。 2019年度は、GISをもちいて日本と欧州の大都市を対象とした社会地区の作成と地区類型の構築、セグリゲーション指標の分析(セグリゲーション、貧困の集中、ジェントリフィケーション)を行なうため、それぞれの指標を作成し、大阪市調査データをもとに再分析を行った。またこれらの指標をもちいて2011年大阪市調査データの再分析を行い、都市社会学会で報告した。さらに大阪市内の複数の地区を対象に新たにサンプリング調査を行い、住民の社会的孤立やネットワーク、近隣効果に関するデータを収集することができた。 また欧州の都市(チューリッヒ、ミラノ、パリなど)で現地調査を行い、対象地区の日常的な移動状況、ジェントリフィケーションの状況に関するフィールド調査を実施した。移動データに関しては、「人の流れデータ」をもちいて大阪都市圏における近隣間移動の動向を把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セグリゲーション指標と調査データの結合と分析については良好な結果が得られた。一方で、モバイルデータに関しては、モバイル空間統計の利用が困難であり、検討の結果分析目的に適したデータ形式ではないと考えられたため、「人の流れデータ」をもちいたデータを検討した。これらのデータと調査データの結合と分析が今年度の課題である。 2019年度は海外都市のフィールド調査と国内の調査データの分析を行ったが、今年度は海外都市のセグリゲーション状況を分析するために、地域データの入手とGISによる分析を行い、比較可能性を検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
国内においては人の流れデータと調査データの結合と分析が次の課題となる。大阪移動データと属性データをもちいて、居住地区や職業階層、年齢等によって都市モビリティにどのような格差があるのか、とくに困窮地域住民が他の地区住民とくらべて社会・空間的に不利益にあるという「社会的孤立 social isolation」仮説を検証することができる。 またダグラス・マッシーの開発した「貧富の集中指標 ICE(Index of Concentreted Extrems)」や申請者の開発したジェントリフィケーション指標をもちいて、各都市の地域類型の作成、各都市における貧富の集中化やジェントリフィケーションの状況も分析する予定であり、各地域データの入手とGISによる分析を進めたい。
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Causes of Carryover |
2019年度末に海外調査を実施する予定であったが、コロナの影響でとりやめにせざるをえなかった。今年度の後半にさらに海外調査の計画を実施したい。
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