2021 Fiscal Year Research-status Report
循環型社会に衣類を適用させる新指標の作成~「衣類=資源」という意識の醸成に向けて
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19K21730
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Research Institution | Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
熊谷 伸子 文化学園大学, 服装学部, 教授 (80328898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡林 誠士 文化学園大学, 服装学部, 准教授 (30581813)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 循環型社会 / 衣類 / 資源化 / 処分方法 / 環境意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、昨年度得た調査結果を基に処分衣類の再活用方法における実生活場面での検討およびコロナ禍による処分衣類への影響を調査した。 まず、再活用方法については、リユースや条件の厳しいリサイクルに適さない様々な衣類においてもバイオコークスとして再生できることを一部で確認しながら、生活者の実生活場面の中でどのようなものへ変換していくことができるかを検討した。現状においては、サイズや形状の制限があるため、実際に作成できるアイテムは特定のものに限られるが、試作品を作成し、利用できるものがあることを確認した。 一方、処分衣類においてもコロナ禍の影響(コロナ禍による在宅時間の増加等)を受けていることが示唆されていたことから、衣類を循環型社会環境システムに適用させる方策を検討する上で、現況における衣類の処分方法に着目すべく、中長期の計画にてオンライン調査を実施し、その結果を比較した。衣類の購入・処分方法等に関する意識について関東圏の大学に在籍する学生に2020年に調査を実施(n = 450)しており、その結果からはコロナ禍に入って半数以上(66。7%)がクローゼット内の衣類整理を行なっており、30%は自粛期間の初期に、36。7%が現在している(調査時点)という回答が得られ、自粛によるステイホームが所有している衣類と向き合う時間になったと推察された。また、初期ではゴミとして廃棄するよりも衣類を売る割合が高くなっていた。同様に、2021年にも同規模の調査を実施し、結果を比較した。入手と処分方法においては大きな差はみられなかったが。処分における好ましい方法としては価格を問わず廃棄が減少していることが確認出来た。これらを含みコロナ禍による服の処分方法への影響が確認されたことから、衣類を循環型社会環境システムに適用させる為にはさらに検討の必要性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の影響により現地および対面でのMTGに替えて、動画等の共有を交えたオンラインMTGを実施する等の工夫を重ねて研究を進めた。しかしながら、使用用途が明らかになっていない処分衣類の再資源化のための実地調査、布の高密度固形化およびバイオコークス化を検討するための実験、生活者に対する衣類の処分方法等に関する対面調査やアパレル企業におけるインタビュー等は計画通りに実施することは出来なかった。2021年度においては、対面での実施が可能な期間もあったが、感染者への授業等の対応や教員間での互助等が必要な環境でもあり、次年度の研究においてはそれらの計画の変更についての検討を行なっている。また、コロナ禍等による大きな社会的環境の変化にも対応できるよう学内でも実施可能な調査や実験を併せて進めていくことも計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度までに実施できていない調査を実施した上で、変更も加えつつ当初の目的を達成できるよう尽力していく。ただし、密を回避すべき等の制限のある状況においては変わっていない側面も残っているため、それらの現状を加味して進めていく。具体的には、学内で可能な実験を含めて研究を進めていくと共に、生活者や企業等へのインタビューおよび実地調査においては、感染者数の減少傾向にある期間においては感染対策を十分に行なうと共に先方とも十分な感染対策を行ないながら実施していく計画である。また、処分衣類の「先」(回収後の利用における実態)についても本研究における重要な点であるが、多くの生活者および様々な処分衣類と接することとなるため、十分に注意および配慮を行ないながら実施していく計画である。
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Causes of Carryover |
理由:コロナ禍の影響により、学外での対面を伴う実地調査に必要とされる交通費が使用できなかったこと、それらの調査に伴う人件費等の使用ができなかったことによる。また、成果報告もオンラインでの開催のみとなり交通費の使用がなかったことも理由の一つである。 使用計画:現状、対面授業の実施等で以前の環境に戻りつつあるが、当面は感染者への授業対応や教員間での互助等が必要な環境でもあることから、それらの影響を想定した中での可能な範囲で研究を進めていくことを計画している。そのため、まずは処分の実態を明らかにしていくための調査(国内での対面を含む)を中心として実施する予定である。加えて、学内でも実施可能な生活者個人を想定した実験等も計画している。尚、最終年度であることから、実験や調査は一通り実施を完了する予定ではあるが、社会的環境による変化等によって年度末までそれらの活動を進めていくことも想定している。
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