2019 Fiscal Year Research-status Report
メタ分析による英文読解指導の教育効果と人的・時間的・経済的コストの関係性解明
Project/Area Number |
19K21740
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
卯城 祐司 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60271722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 由子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (80548735)
清水 遥 東北学院大学, 文学部, 准教授 (20646905)
高木 修一 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (20707773)
濱田 彰 明海大学, 外国語学部, 講師 (50779626)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 英語教育 / リーディング / メタ分析 / 教育コスト / 教育効果 / エビデンス / 系統的レビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,中学校・高等学校・大学で行われる英文読解指導の効果量をコストパフォーマンスの観点から解明する一連の調査を行っている。具体的には国内外の教育研究論文に対し(1)指導時の人的・時間的・経済的コストを要因としたメタ分析を行い,(2)英文読解指導のコストとメタ分析が推定する教育効果の関係性が実際の教室で再現されるのかを検討している。
メタ分析は一般的に,一次研究の大規模収集,収集した文献の情報コーディング,メタ分析に含める文献の適格性評価,効果量の統計的解析というステップを経る。本研究では策定した適格性基準に沿う文献を収集し,文献のデータベース化を行った後に,指導コスト調査の結果を含めたメタ分析を行う予定である。メタ分析を行う際の効果量としては標準化されたHedges gという指標を用いる。文献のデータベース化は研究代表者が主催する筑波リーディング研究会や,研究分担者が担当している。指導コストの調査,統計解析,教室における再現性の調査研究は,研究分担者と共同で行う予定である。
研究計画の1年目にあたる2019年度は,メタ分析のための一次研究の大規模収集,およびメタ分析に含める文献の適格性評価を策定するための先行研究調査に取り組んだ。文献収集についてはメタ分析のガイドラインに従い,国内外のデータベース(ERIC,LLBA,PsycINFO,Science Direct,Web of Science,Google Scholar,J-Stage,CiNii)から電子ジャーナルサーチを行った。また,未電子化ジャーナルや書籍,紙媒体の各種報告書について引用文献のバックワードサーチを行い,マニュアルでの文献収集も行った。適格性評価の策定にあたっては,読解指導に関わる国内外の文献や既存のメタ分析について広く調査しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の1年目は,(1)英文読解指導の効果を検証する国内外の論文を広く収集し,(2)メタ分析に含める適格性評価の基準策定に必要な要因を網羅的に調査した。これは当初の計画通りである。また,研究計画の2年目に向けて,メタ分析に含める論文のコーディング作業の準備と論文のデータベース化を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2年目の研究計画および発展的課題に着手する。具体的には,1年目にデータベース化した文献が報告している指導法のコストを調査する。さらに,推定される指導コストをもとに効果量の統合的計算および調整変数分析を行う。指導コスト調査については,中学・高校・大学の英語教員を対象にリッカート尺度の質問紙調査を行う。質問紙には各文献が報告している指導法を実際に導入した場合に想定される人的・時間的・経済的コストに関する質問項目を含める。効果量の統合・調整変数分析については,メタ分析に関わる統計解析を行い,各文献の指導効果量を算出し統合する。さらに調整変数分析によって,指導の人的・時間的・経済的コストによって効果量がどのように変化するのかを検証する。得られた成果については学会や論文投稿という形で発表し,外部機関による客観的な評価を確認しながら研究を進めていく
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Causes of Carryover |
(理由)本研究課題に関わる研究討議を行うため、協力者の院生と、The American Association for Applied Linguistics (AAAL) など複数の国内外学会への出席を年度末に予定していたが、新型コロナウイルスのため、当該学会が開催中止となったり、渡航を断念せざるを得なかったため。
(使用計画) 新型コロナウイルスが収まり次第、国内外の学会への参加、および本年度の成果について発表を計画しており、その費用として次年度使用額を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)