2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of experimental safety management and education methods to support diversification of career choice for visually impaired persons
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19K21747
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 義人 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (70213709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 佳子 東京大学, 環境安全研究センター, 教授 (10436529)
澤口 亜由美 東北大学, 理学研究科, 技術一般職員 (10837785)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 視覚障害 / 実験安全 / 行動解析 / 理系 / 進路選択 / 被験者実験 / 科学的手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚障害のある学生の理系進学へのハードルとなっている可能性が指摘されている実験作業とそのリスクの解消を目的として、以下の検討を行った。 1.視覚障害のある学生の実験作業に関する現状調査と課題抽出 視覚障害のある人が実験作業を行った国内外の事例を文献等から収集し、実験を行う上での具体的な困難や課題の抽出、その解決方法などについて整理した。また、視覚障害のある人の経験をもとに、実験作業の内容、実験で使用する物質や器具類、実験作業環境などの項目について、できることとできないことの差異、具体的な実験上の工夫や代替法、周囲からのサポートの有無や種類などについて議論した。 2.被験者実験による視覚障害の有無が動作に及ぼす影響の科学的解析 視覚障害のある人、およびレファレンスとして視覚障害のない人をそれぞれ被験者として、化学実験を単位操作に分解した場合の各単位操作の模擬操作を行わせる被験者実験の計画を策定した。具体的には、カップ・匙の取り出しおよび所定の場所への設置、粉末・液体の計り取り、容器への投入、容器内での撹拌などの操作について、動作の様子を3次元リアルタイムモーション計測システムやカメラによって記録し、その挙動について解析を行う実験とした。 3.実験作業における音の役割に関する検討 視覚障害のある人にとって、聴覚からの情報は視覚を補う重要な役割を果たしていると推測される。本年度は、実際の実験室で発生している音をモニタリングし、そのスペクトログラムの特徴から、実験室内の音が、背景音、機械音、人に起因する音の3種に大別できることを明らかにした。また、視覚障害のある人の歩行を支援するツールにも応用されている音響VRについて、既往の研究を調査するとともに、実験室版のVRソフトの開発に向けた検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「1.視覚障害のある学生の実験作業に関する現状調査と課題抽出」については、過去の実施例が少ないものの、実験を行う上での具体的な困難や課題の抽出とその解決方法についてはある程度情報が整理できた点で、当初の計画通り進捗している。これらの情報は、今後実施を予定している視覚障害学生本人および学生の受け入れ経験のある研究室のスタッフに対するヒアリングやアンケートを実施するための基礎情報として活用できると考えている。 「2.被験者実験による視覚障害の有無が動作に及ぼす影響の科学的解析」については、具体的な被験者実験の内容を決定するとともに、予備的実験によって手法の妥当性についての検討も行っている。また、参加者の属性や障害の程度などが偏らないよう留意しながら、機縁法によって被験者の募集を行い、すでに10数名の被験者を確保するに至っている。新型コロナウイルスの影響から被験者実験の実施は延期されているが、実験が再開できるようになった段階で速やかに実施に移る予定である。 「3.実験作業における音の役割に関する検討」については、実験室内の音を測定するために必要な機器類の整備や、実際の測定および解析を行うことができた点で、順調に進められている。また、音響VRについても検討を開始しており、次年度には被験者の実験に展開できるものと考えている。 以上のように、新型コロナウイルスの影響で被験者実験の実施に多少の滞りはあるものの、概ね当初の計画通りに順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
実験作業の特徴と視覚障害との関係性を明らかにする目的で、道具の改良や設備の充実といったハード面での整備や、障害の種類や程度を踏まえた支援や指導といったソフト面での指針の策定について検討を進める。 現状調査と課題抽出については、引き続き、国内外の事例の収集を進めるとともに、理系を専攻する視覚障害学生および学生の受け入れ経験のある研究室のスタッフに対し、実験を行う上での課題やその解決方法に関するヒアリングやアンケートによる調査を実施する。これらの知見をもとに、視覚障害のある学生が、障害のない一般の理系学生と同様、安全に実験作業に携わるための、障害の種類や程度に応じた実験作業上の留意点として整理する。 被験者実験による科学的検討については、化学実験を構成する各単位操作の模擬操作を行わせる被験者実験により、モーションキャプチャーやアイカメラなどの機器を使った動態解析を行う。また、実験室内の音を再現・加工可能な音響VRのソフトを作成し、視覚障害の有無による実験者行動への音の影響の差異について、実験的に検討する。 これらの検討結果をふまえ、視覚障害のある学生が安全に実験を実施するための実験作業で用いられる道具の改良や設備の充実といった、ハード面での整備について検討する。併せて、視覚障害のある学生が実験作業を行う際の、障害の種類や程度を踏まえた支援や指導に関する指針の策定を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、当初の計画で初年度後半に実施する予定であった被験者実験及び研究打合せが実施できなくなった関係で、実験の実施にかかる費用(消耗品、謝金、旅費)は、次年度に繰り越して使用する計画である。 次年度は、上記の繰り越し分を含め、実験にかかる費用を物品費として支出するほか、研究打合せおよび成果発表のための旅費、被験者実験の協力者に対する謝金を計画している。
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