2020 Fiscal Year Research-status Report
Factors influencing post-evacuation behaviors following a major earthquake
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19K21752
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小柴 佑介 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 技術専門職員 (60419273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 穣 横浜国立大学, 先端科学高等研究院, 特任教員(助教) (10804932)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 不安全行動 / 避難後行動 / 一次避難 / 危機管理 / 防災教育 / 意思決定 / 再入棟行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の大目標は防災教育に資する基礎的知見の獲得であり,本研究の期間目標は大地震後において,化学物質等を取り扱う建物への人々の不安全な再入棟行動 (PEB) に及ぼす要因の解明である.昨年度までに,PEB を促進または阻害する外的要因の特定および再入棟時の選択的注意項目を明らかにしたが,サンプルサイズが小さく,定性的な分析にとどまっていた. 本年度はサンプルサイズを大きくしたデータを用いて新たに解析を行った.PEB 時における選択的注意項目に関して,語の頻度解析を行った結果,頻出頻度が一定以上の 42 語が抽出され,上位語は順に「確認」,「建物」,「再入棟」,「ガラス」,「ヘルメット」であった.この 42 語を用いた共起ネットワーク分析の結果,Jaccard 定数に基づいて 9 個のコミュニティが特定された.文字数の制約上,全てには言及できないが,たとえば『「ヘルメット」や「靴」』などのノードから成るコミュニティや『「ガラス」,「足元」,「頭上」』などから成るコミュニティがあり,『「試薬」,「高圧ガス」,「火災」』といったノードから成るコミュニティとは関連が低いことが分かった.すなわち,地震動から想起容易な項目とフィジカルハザードに係る項目が共起しないことが見いだされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020 年度は,新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に起因して,年度初めから緊急事態宣言が発出された.また,特に首都圏では緊急事態宣言の期間が長かっただけではなく,年度内に二度も緊急事態宣言が発出されたため,研究代表者および研究分担者が所属している首都圏の大学では,様々な行動の制約が生じた.従って,当初計画にあった調査を実施することが叶わなかった. しかしながら,上述した通り,新たに解析を進めることができた.また,当初は次年度の予定であったが,その解析結果から得られた知見をまとめ,学術誌に投稿した.従って,大局的な視点に立てば,コロナ禍の影響は受けつつ概ね計画通りに研究を遂行できたと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今までは,PEB 特性に及ぼす外的要因を定量的に明らかにしてきたが,当然ながら心的要因も PEB 特性に影響すると考えられる.従って,本年度は主として防護動機理論などに基づいた心的要因の解明を目指す予定である.ただし,令和 3 年 4 月上旬現在,新型コロナウイルスへの感染者数の再拡大が報告されており,想定通りに研究を進捗できないという事態に陥ることがあり得る.従って,可能な限り研究計画を実行して研究目標を達成できるよう,準備を十分に行う予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に起因して,当初予定していた学会等が全て中止またはオンライン開催となったため,旅費等をほとんど使わなかった.令和 3 年度においても,状況はほとんど改善しないと考えられることから,繰越金は本年度における「物品費」や「その他」に計上する.
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Research Products
(5 results)