2019 Fiscal Year Research-status Report
ペアレントトレーニング効果判定のためのMRI脳計測による客観的手法の開発
Project/Area Number |
19K21755
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
友田 明美 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (80244135)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | ペアレントトレーニング / 発達障害 / 注意欠如多動症 (ADHD) / マルトリートメント / 脳画像解析 / 養育者支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害児を持つ養育者の子育て困難の軽減・改善は養育者から子に対するマルトリートメント(不適切な対応)の予防につながる。そのためには養育者の子育て困難の背景にある生物学的な脆弱性を特定し、その軽減・改善のメカニズムの解明が必要である。本研究では、注意欠如多動症 (ADHD)児の母親を対象としたペアレントトレーニング・プログラム(PT)の効果について、母親の養育ストレス軽減と子どもとの親子関係の改善や社会的情報処理の機能低下からの改善に至るまでの脳神経科学的基盤の変化の解明を目的とし、機能的・構造的MRIを用いて検討した。対象被験者はDSM-5に基づき診断されたADHD児とその母親で,母親はPT受講群と,待機群に無作為に割り当てられた。実験においては,PT受講/待機期間の前後の2時点で親子に対して質問紙評価と,ADHD児に対する安静時脳機能計測を行った。解析対象は,安静時脳機能計測を行ったADHD児とその母親11組であった。結果,PT受講群の母親の養育ストレス指標が有意に減少し,またADHD児の子どもの行動のチェックリストのうち,「注意の問題」尺度が有意に改善していた。更にADHD児の脳機能については,PT受講群の子のみ母親のPT受講後に,受講前よりも前頭回内側部の活動が上昇していた。前頭回内側部は,社会的理解やコミュニケーション,自他の認知に関わることが知られている。これらの結果から,PTによる母親への介入が母親の子に対する理解と養育環境の向上を導き,それにより子の社会的認知の上昇と機能的問題の軽減に結びついた可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス禍の影響により被験者リクルートとペアレント・トレーニングの実施が遅れているが、複数の実験においては終了し、本研究の独創性を反映したユニークな視点、手法による結果が得られた。現在国際誌投稿の段階に入っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き今年度も、被験者リクルートおよび脳MR画像解析を推進する。また、それらの最終結果について論文投稿を目指す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス禍の影響で、被験者リクルートとペアレント・トレーニング実施が遅れているため。次年度では引き続きリクルートを開始することで、実験参加者への謝金や補助員への人件費などに未使用額を充てることとしたい。また成果発表も行うための旅費にも充てる予定である。
|
Remarks |
https://researchmap.jp/read0172993/published_papers
|
-
[Journal Article] Developmental changes in attention to social information from childhood to adolescence in autism spectrum disorders: a comparative study2020
Author(s)
Fujioka Toru,suchiya Kenji J,Saito Manabu,Hirano Yoshiyuki,Matsuo Muneaki,Kikuchi Mitsuru,Maegaki Yoshihiro,Choi Damee,Kato Sumi,Yoshida Tokiko,Yoshimura Yuko,Ooba Sawako,Mizuno Yoshifumi,Takiguchi Shinichiro,Matsuzaki Hideo,Tomoda Akemi,Shudo Katsuyuki,Ninomiya Masaru,Katayama Taiichi,Kosaka Hirotaka
-
Journal Title
Molecular Autism
Volume: 11
Pages: 24
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-