2023 Fiscal Year Research-status Report
認知モデルに基づくメタ知識獲得のためのアクティブラーニングのフレームワーク
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19K21771
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
曽我 真人 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (60252839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 竜一 和歌山大学, データ・インテリジェンス教育研究部門, 講師 (00379611)
尾久土 正己 和歌山大学, 観光学部, 教授 (90362855)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2025-03-31
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Keywords | PBL / アクティブラーニング / 気づき / 英会話 / 演劇 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は,Covid-19を原因とする遠隔授業は実施する必要がなくなった.このため,本科研研究期間が始まって以来,初めて,ビジネス英語の授業を対面(面接)で行うことができた. 第1クォータ(以降,第1Qと略す)で,ビジネス英会話のテキストを使用し,座学を中心とした文法解説を行った.第2Qでは,その座学で学習した表現や文法事項を少なくとも10個以上取り入れ,さらに,関係代名詞Whatを用いた英文をとりいれることを条件とし,創作英会話文を1班あたり5名で構成するグループワークで作成した.そして,その創作英会話文を英語小演劇として発表会で演じさせた.生成系AIが普及してきたので,創作英会話文の作成時は,ストーリの作成では生成系AIを使わないように指導し,英会話文の綴りの間違いや,簡単な文法の間違いなどをチェックする目的であれば,機械翻訳や生成系AIの利用を推奨した. 一方,発表会より前に,創作英会話文をPPTにまとめて提出させ,その前後に,教員がすべての班の創作英会話文をチェックし,誤りをすべて洗い出し,なぜ,誤っているのかという理由と,その文脈での正しい英会話文を提示した.さらに,関係代名詞Whatの使い方が不適切な場合は,その文脈での正しい英文を提示するだけでなく,正しい英文がWhatを使わない英文である場合,Whatを使うことを条件として課しているので,その英会話文を多少修正し,正しく関係代名詞Whatを使用した英語表現を文脈に合うように教員が提案した. 発表会では,台詞を暗記させ,台詞の単語の総数と暗記の度合いを主な評価指標として評価した.事後の授業評価アンケートでは,授業は好評で,とくに教員による英会話文の誤りの指摘と,正しい表現の提案は好評であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19により,対面(面接)授業ができないまま当初の研究期間である3年が経過し,昨年度に2回目の延長の末,ようやく,ビジネス英語の対面(面接)授業が実現でき,創作英語小演劇の実践の1回目を実施することができた.当初の研究期間である3年間の間には,ビジネス英語は2回(2年)授業期間があった(挑戦的研究(萌芽)は,1年目は7月に研究期間開始で,その時点で1年目のビジネス英語の授業はほぼ終了していたので回数に入れない)が,遠隔授業であったため,英語小演劇は実践できなかった.そのため,英語小演劇の2回目(2年目)を実施するのが,3回目の研究期間延長が認められた2024年度である.2回の実践の授業評価アンケートを分析することにより,1回目(2023年度)の好結果がその年の受講生に特有の事象だったのか,それとも,ある程度,普遍的な事象,すなわち,この英語小演劇によるPBLの手法が,生成系AI時代においても学習効果あると一般的化して言えるのかどうかを検証できると考えている.以上のような理由から,「やや遅れている.」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
前記のとおり,2024年度に生成系AI時代に合うように構成した英語小演劇のPBLの2回目を実施する予定である.その結果を分析することにより,この英語小演劇によるPBLの構成法と評価法が生成系AI時代にふさわしいと一般化して言うための根拠が得られると予想している. 生成系AIが普及する前に創作英語小演劇のPBLを行っていたのは,Covid-19が蔓延する前で,かつ,本研究課題がスタートする直前の2019年4~7月であった.その時は,(生成系AIが普及していないので)創作英会話文のストーリの構成や,落ちの面白さを主軸に評価していた.創作英会話文のストーリを考えるときに,各場面を想像する必要がある.そして,想像した場面の情景や登場人物と,発話する台詞の英文とを連結させて学習することになる.このため,将来,実際の社会で,そのような場面に遭遇したときに,連結して記憶した台詞の英文が想起され,適切な英文を発話することができるようになると考えた.そのため,創作英会話文のストーリの構成を中心に評価する評価法は,その当時の世の中では有効であったと考えている. しかし,生成系AIの普及により,ストーリの構成や英会話文の生成を,比較的簡単なプロンプトを入力するだけで生成できる可能性のある時代となった.このため,ストーリの構成に重点を置いた評価法を実施すると,受講者が生成系AIをストーリの構成や生成に使うことを助長する.そこで,ストーリの構成の評点の割合を下げ,代わりに,台詞を暗記させ,台詞の単語の総数と,暗記の度合いを評価の主軸とした. 以上のような,PBLの構成法と評価法が,生成系AI時代にふさわしいと一般的にいえるのかどうかを,生成系AI時代に2回面の実践となる2024年度の実践で確認していく.
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Causes of Carryover |
前述の通り,2019年7月に本研究課題の研究期間がスタートしてから,Covid-19の蔓延が続いたため,ビジネス英語の授業で創作英語小演劇のPBLを初めて実施できたのが2023年度である.そして,そのPBL実践の構成法,成績評価法,受講者による授業評価アンケートの結果などの概要を2ページの原稿にまとめ,2024年3月3日に熊本大学で開催された日本教育工学会2024年春季全国大会にて発表した.支出はこの発表に伴う研究代表者と分担者の発表参加費と旅費であったため,比較的少額にとどまった. 2024年度は,2023年度の創作英語小演劇の内容を論文誌に掲載したいと考えており,採択されれば,その掲載料で本科研費を使用する予定である.また,2024年度の創作英語小演劇を実践した後に授業評価アンケートや受講者の成績を分析し,この創作英語小演劇の構成法と評価法が生成系AI時代にふさわしいと一般的に言える場合は,研究会や国際会議で発表する可能性がある.そして,その参加費や旅費を本科研費から使用する可能性がある.
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