2020 Fiscal Year Research-status Report
Career support education to the care manager who realizes co-creative care for client of cancer and family
Project/Area Number |
19K21775
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中谷 久恵 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (90280130)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 恵子 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (10339773)
泉宗 美恵 山梨県立大学, 看護学部, 准教授 (40468228)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | がん療養者 / 介護支援専門員 / ケアマネジャー / 看取り / 地域づくり / 特定事業所加算 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん療養者への看取りの地域づくりはいまだ立ち遅れており、看取りの療養を支援する背景を探ることは重要な課題である。そこで、本研究では、2020年度に介護支援専門が受け持つがん療養者の在宅での看取りの実態を明らかにすることを目的として調査を行った。調査は、一県内の居宅介護支援事業所906施設のうち、特定事業所加算Ⅰ~Ⅳのいずれかを申請している256施設に所属する768人の介護支援専門員を対象に、無記名自記式任意の個別回収法による質問紙調査を行った。調査内容は属性(年齢、雇用形態、基礎職種、経験年数、役職、医療施設併設)と看取りでの臨終場面の立会い(以下、臨終体験)、がん療養者の受持ちと看取りについてである。分析方法は、がん療養者の在宅での看取り経験の有無に関する相違を属性で比較し、カイ二乗検定により両側検定P値0.05を有意差ありとした。調査時期は2021年2月から3月である。回収は441人(回収率57.4%)からあり、調査項目に欠損値がない425人を分析対象とした(有効回収率55.3%)。回答者の平均年齢は50.5±8.4歳、介護支援専門員の経験は平均10.0±5.4年であった。がん療養者のケアマネジメントの実態では、受持ち経験があるのは406人(95.5%)で、ある人のうち利用者の24時間以内の病院死を含む看取り経験者は314人(77.3%)であった。利用者の看取り経験の有無(あり314人、ない92人)の特徴として、経験年数(10年区分)、雇用形態、役職、看護職資格、医療施設併設、臨終体験を比較したところ、経験年数10年以上(P<.001)、主任介護支援専門(P<.001)、医療施設併設あり(P<.05)、臨終体験あり(P<.05)が多い結果であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度には、介護支援専門(以下、ケアマネジャー)を対象にしたアンケート調査の結果から、がん療養者へのケアマネジメントの技術を明らかにし、その技術の分析に基づく教材事例のシナリオ動画を作成して教材へのスーパーバイズを実践者から受け、eラーニング用のコンテンツを制作することが到達点であった。コロナ禍のケアマネジャー業務が多忙でアンケートの調査依頼に苦慮したことや、研究者が所属する大学での教育業務への荷重からエフォートの研究時間を確保することが困難であった。そのため、年度内にはアンケートにおける横断調査の記述統計とがん療養者の支援技術の探索的因子分析の結果までで終了した。共同研究者との会議はZOOMにより意見交換を行い、欠損値のない361人の結果から技術20項目は3因子構造18項目の探索的因子分析の結果が得られた。第1因子は「チームケアを基盤にした看取り安らかな死への準備」、第2因子は「病状の進行に遅れを取らないケアプラン作成」、第3因子は「本人と家族の相互気持ちをつなぐモニタリング」と命名した。得られたモデルの構造は、在宅で最期を迎える本人と看取りの家族を支えるために必要な医療と生活介護を、1つのチームで支援するケアマネジメントの特徴が示唆された。次年度にはこれらの特徴から、教材作成を行い、教育システムを構築してeラーニングの実践までの展開を目指して進めていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度に行った横断調査の結果から、特定事業所加算の事業所で働く介護支援専門員は9割以上ががん療養者を受け持った経験があり、7割以上が在宅での看取りまでのケアマネジメントを経験していた。そのため、医療施設の併設や個人の臨終体験という医療との接点は、がん療養者を介護支援専門員が在宅で看取る経験を高めることがうかがえた。この結果から学習ニーズや学習者のターゲットを特定事業所に勤務する介護支援専門員として、2021年度にはがん療養者のケアマネジメントを学ぶeラーニングの教材づくりと教育プログラムを具体化したシステムを開発する。具体的な方法としては、ケアマネジメントが誕生した米国の文献検索や研究者との意見交換から、職務内容の特徴を把握する。特に、ケアマネジメントのニーズとデマンドを見極める方法をより詳しく調査して、18項目のアセスメント内容の妥当性を吟味する。その後、日本のケアマネジャーにスーパーバイザーとして加わっていただき、がん療養者のアセスメントが見える化できる事例のシナリオ案を作成し、がん療養者のケアマネジメントをイメージできる動画教材を制作する。事例検討方式でホームページを作成してネット上での意見交換を行い、広島、青森、山梨の3地点を結ぶ受講者を1グループとしてパイロットスタディを1回実施する(30人)。学習後の評価は1か月と3か月後に行い、職務内容の実践と職務の理解度をイメージの到達度として把握する。アンドラゴジー・モデルの要素が2020年度の横断調査に含まれていたため、データの分析を行って結果の特徴を把握したうえでeラーニングの内容にも取り入れていく。パイロットスタディの終了後に、2020年度に横断調査を行った事業所へ調査への協力を依頼し介入研究を開始する。調査前後でがん療養者へのケアマネジメント技術の実践への自信度を測定し、教育プログラムの評価を行う。
|
Causes of Carryover |
202年度に動画教材2件と教育用ホームページを構築する予定の費用であった。この予算を次年度に活用し、eラーニング用の教材とICT教育システムを完成させる。
|