2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of media education for rabies prevention by integrating gamification and humanities and sociology
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19K21787
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小田 光康 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (10724130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大松 勉 東京農工大学, 農学部, 准教授 (60455392)
井上 智 国立感染症研究所, 獣医科学部, 室長 (90213157)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 狂犬病 / 人獣共通感染症 / メディア教育 / ゲーミフィケーション / タイ / 公衆衛生 / マイノリティ / 格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は9月11日から15日までの5日間、タイ北部チェンマイ県オムコイ郡の山岳少数民族ラフ族村落で、小学校低学年の児童に対して公衆衛生やメディア環境の調査を実施した。その結果、これらの以前の問題としてタイ語のリテラシーの問題、その中でも言語コードの問題が浮上した。少数民族は村落内では民族特有の言語でコミュニケーションをし、また、タイ語リテラシーがあったとしても少数民族が持つ言語コードの違いにより、タイ語でのコミュニケーションが困難である場合があることが分かった。 10月18日から23日までの6日間、再度ラフ族村落を訪れて児童のタイ語リテラシーの調査を実施すると共に、タイ国立チェンマイ大学獣医学部・医療関連学部共催の研究会で、本研究の概要説明と共に、同大研究者、米CDCバンコク事務所狂犬病対策担当官、同国チュラロンコン大学研究者と研究内容についての討論を実施した。米CDCはタイ、ラオス、ミャンマー、カンボジアで狂犬病対策を実施しており、我々の研究成果であるメディア教材を活用したいとの申し出があった。 11月1日から11月3日までの3日間、独ボン大学で開かれたヨーロッパコミュニケーション研究教育学会でこれまでの研究結果を発表した。ここで同一使用言語であっても、民族、階級、社会成層によって異なる単語とその用法が存在するため、この言語コード問題を克服しないかぎり、メディア教育を用いた公衆衛生策も無効になる可能性があることを指摘された。 2020年2月20日から24日までの5日間、ラフ族集落の児童に対して、通訳を介してラフ語でのメディア環境を実施した。この結果、タイ語話者児童とは異なり、メディアはゲームよりも動画をより多く利用している実態が明らかになった。さらに、これらの調査は対象者への利益が存在しないと困難であることも分かり、本研究の当初の計画を修正する必要があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度の調査研究で同一使用言語であっても、民族、階級、社会成層によって異なる単語とその用法が存在するため、この言語コード問題を克服しないかぎり、メディア教育を用いた公衆衛生策も無効になる可能性が分ったと同時に、タイ語話者児童とは異なり、山岳少数民族言語話者の児童はメディアはゲームよりも動画をより多く利用している実態が明らかになった。当初はスマートフォンのゲームアプリを基盤にしたゲーム教材を製作する予定であったが、動画教材に変更せざるを得ない状況が明らかになった。また、この動画は非言語的である必要がある。 狂犬病予防教材はタイ国内だけでなく狂犬病蔓延諸国で活用されてこそ社会実装の効果を上げることができる。このためには言語の壁だけでなく、言語コードの問題を克服する必要があることがこれまでの調査研究で明らかになった。新型コロナウィルス感染症に関しても、ごく少数ではあるが各国地域で同様な取り組みがなされている。 また、調査対象である少数民族は調査研究協力に対して利益を求めることも判明した。海外研究者にこのことを尋ねると、アジアやアラブ諸国では一般的であるとの回答を得た。ラフ族はコーヒー栽培によるケシ(麻薬)経済からの脱却を目指しており、調査研究に協力してもらうには、これに対する援助の方策を提供する必要がある。 本来、2020年春から夏にかけてタイ国内で以上の要因の修正を含むメディア教材を開発し、その臨床的なフィールドワークを実施する予定であったが、2020年6月現在、新型コロナ禍の影響でこの教材開発が遅れているとともに、現地でのフィールドワークが不可能な状況が継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
狂犬病予防対策は、市民社会で生活する人々に広くあまねく浸透しなければ、その撲滅にはおぼつかない。さらに、その中でもその施策が一番届きにくい人々に寄り添い、その人々の考えを優先させるべきものである。社会の周縁部に生きる社会的弱者、特にその言語コードの問題に焦点を当てる必要が有ることがこれまでの調査研究で明らかになった。 タイ北部山岳地帯の少数民族に焦点を当てて、ゲーミフィケーションの手法を活用した動画によるメディア教材開発を進める。この際、ユーザーの視点を最大限取り込むことが重要である。まずは日本国内で若年層の動画教材に関する傾向を調査し、その試作版の製作に取りかかる。 これに並行して、本研究を効果的に進めるため、本研究とは分けてまったく別に、対象への援助策としてコーヒー取引のマーケティング・広報等を実施していく。地域の公衆衛生策はその地域の経済向上策と両立してこそ、より効果があがると考えられる。 また、タイへの渡航禁止措置が解除され次第、タイ・チェンマイ大学の研究者らと教材製作の方向転換について議論すると共に、試作版の試験をラフ族集落で実施する。 さらに、このメディア教材の製作過程や現地でのフィールドワーク実施の様子を記録すると共に、これらをマスメディア等に広報する活動も展開していく。
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Causes of Carryover |
本年度でのタイ北部チェンマイ県オムコイ郡山岳少数民族村落での調査で、当初見通しと結果が異なり、メディア教材開発の計画変更を余儀なくされたため。
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Research Products
(5 results)