2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K21799
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Research Institution | Kyoto Bunkyo University |
Principal Investigator |
中島 千惠 京都文教大学, こども教育学部, 教授 (20309107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 美奈 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (30298442)
杉本 均 京都大学, 教育学研究科, 教授 (50211983)
石川 裕之 京都ノートルダム女子大学, 国際言語文化学部, 教授 (30512016)
澤野 由紀子 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (40280515)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 公教育制度 / 包摂 / 義務教育 / 共通の基盤 / ホームスクーリング |
Outline of Annual Research Achievements |
教育の在り方は社会を分断する危険を孕む。公的にコントロールされた学校制度から離れて自由な学校を設立したり、ホームスクールを選択する人たちは社会から疎外されがちである。本研究は教育による社会の分断を避け、共通の基盤形成する次の公教育の在り方を探る。 2021年度は、2020年度に調査対象の国における義務教育免除や特例に関する法令、特にホームスクーリングに関連する法令を調べ中間報告書としてまとめた(2021年3月)。2021年度はその報告書に基づき、第57回日本比較教育学会(6月)で発表した(ラウンドテーブル)。義務教育の枠組みに入らない学習形態で学んでいる人たちをいかに公教育制度の中に包摂していくか、特に公立学校から最も遠いと思われるホームスクールに焦点を当てた。タイトルは「義務教育とホームスクール規定の国際比較」である。ホームスクールは、インドネシアでは義務教育がフォーマル、ノンフォーマル、インフォーマルの3つの系統で実施されている。ホームスクールはインフォーマルに入り、教育文化大臣によるホームスクール規定が定められている。シンガポールでも義務教育の例外措置のひとつとして法律で定められているが、特別な支援を必要とする児童に対象が限定されている。韓国ではホームスクールに関する正式な法令はないが、それまで厳しい姿勢でとりしまる傾向にあった無認可のオールタナティブスクールが公的に認められ、補助を受けられる方向の政策転換が図られつつある。アメリカはホームスクールの公的支援体制が整っているが、州によって教育の学習内容や質保証のためのテストに関する厳しい規定がある州とそうでない州がある。公教育の枠を拡大し、多様なニーズの人々に学習機会を公的に保障していこうとする量的拡大の動きと、教育の質保証を推進しようとする国際的な動向の中で、これらの法整備が進んでいることがわかる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度末にはコロナウイルスに対する予防接種が進み、海外調査が可能になると予測し、調査の実施を想定していた。しかし、変異株オミクロンの拡散によって海外調査が実施できない上にいつ終息するか先の見通しがたちにくい上に、調査対象国の事情も鑑み、研究計画の延期、あるいは海外調査の一時中止の措置を取らざるを得なかった。研究期間を延長し、同時に研究計画の修正を検討せざるを得ない状態になった。最悪2022年度の大半も安全な海外調査が実施できる見通しが立たない場合、どうするかなど2つのレベルで検討しなければならなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はオミクロン感染者の増加に加え、ウクライナ侵攻など国際情勢の不安定さが海外調査にとって環境悪化を加速している。研究代表者としては現地調査については慎重にならざるを得ない。今後の研究は以下のように推進する予定である。 1.学会発表:夏頃までは国内での活動を基本とし、6月に開催される日本比較教育学会でインターネットをとおしてホームスクーラーや支援団体・組織の人たちが自分達をどのように発信しているか、調査対象の国について報告する予定である。今までに試みたことがなかった研究手法を用いてチャレンジする。 2.オンラインインタビューの実施:夏から秋にかけてオンラインインタビューを実施し、情報収集にあたることを検討している。更に、シンポジウムなどが実施できないか検討を重ねる。 3.可能なら冬(12月~3月)に海外調査を実施する。 4.2023年に最終報告書、学会発表を行う。
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Causes of Carryover |
コロナのため、2021年度は海外調査ができなかった上に、国内学会もオンラインで開催された。研究会は6回開催したが、すべてオンラインで実施した。そのため、旅費がほとんど使用できなかった。しかし、海外調査は極めて重要であり、研究期間を延長して最後まであきらめない方針で研究を推進することにした。研究メンバーほぼ全員が海外調査のための旅費をそのまま2022年度に繰り越している。
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