2019 Fiscal Year Research-status Report
音声言語発達障害における特性理解・情報共有レーダーチャートの開発と有用性検討
Project/Area Number |
19K21801
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
岩村 健司 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (20626296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵頭 政光 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00181123)
黒岩 朝 高知大学, 医学部附属病院, 特任助教 (10813412)
野村 恵子 熊本大学, 病院, 助教 (10452880)
小薗 真知子 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (80128272)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 音声言語発達障害 / レーダーチャート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、発達障害や知的障害児を対象として、対人関係を円滑に保つ言語コミュニケーションが障害される音声言語発達障害(Spoken Language Disorders : SLD)の特性について、レーダーチャートにて可視化し、特性理解および支援者間で利用できる情報共有ツールを開発することである。レーダーチャートは、多様な評価項目に対し、一目で支援に必要な項目や程度を明らかにできる情報共有ツールであり、専門家以外では特性理解が困難であった言語障害に対し、本人を含め様々な人たちにも特性理解・情報共有が期待できる。本研究の計画は、1年目に当事者親の会や言語発達障害に関わる各専門職に対し、定期的なミーティングやアンケートなどの調査を行い、レーダーチャートに用いるべき各特性と評価基準について選定する。2年目以降は、地域の保育園や幼稚園、小学校などにおいて各特性の評価基準を設定するためのデータ収集と解析を行う。次に3年目以降は、評価者間の一致率などを検討し、信頼性や妥当性に関する精度を高め、有効性を検討していく。これら3ヵ年の計画で実行され、2019年度は計画の1年目にあたる。研究計画に基づき、各専門職や当事者親の会代表などに連絡し連携の確認を行うなど、ワーキンググループを構成していき、レーダーチャートについて意見交換を行う組織を構築している。また、同様に言語発達障害を評価する検査などの様々な備品を整備するといった2年目以降に必要な準備を整えている。このように1年目の研究計画に基づき準備を整えていたが、2019年12月頃より生じた新型感染症拡大に伴う自粛要請の影響もあり、通常計画していたようなミーティングなどのワーキンググループの活動が困難な状態が生じている。現在、それら現状を鑑みWebなどを活用するなど状況に応じて対応を工夫するなど研究を進めている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は計画の1年目にあたり、当事者親の会や言語発達障害の支援に携わっている各専門職に対し、定期的なミーティングや意見交換、およびアンケート調査を行い、レーダーチャートに用いるべき各特性と評価基準について選定することが計画の目標となっている。本研究は科学技術研究費の交付のあった2019年8月から開始された。研究計画に基づき、関係各位に連絡し、各専門職と親の会代表を募るなど意見交換を行うためのワーキンググループを組織した。構成されるメンバーは、医学分野として高知大学医学部兵頭正光医師、熊本大学医学部野村恵子医師、上土井貴子医師、言語発達障害分野として熊本保健科学大学言語聴覚学専攻小薗真知子、永友真紀、目白大学言語聴覚学科内山千鶴子、土佐希望の家医療福祉センター谷本愛裕美、関西総合リハビリテーション専門学校言語聴覚学科上村朋久、発達障害児親の会として子育て支援ネットワークさやえんどうクラブ熊本代表福浦さやか、杉山洋子、統計学分野として高知大学医学部黒岩朝とし、ワーキンググループとして組織した。現在も多くの専門職や当事者の意見を参考にするため、幅広く組織形成を続けている。また、レーダーチャート項目の選定のため、平成19年厚生労働省感覚器障害戦略研究で行われた「聴覚障害児の療育等により言語能力等の発達を確保する手法の研究」で紹介された各種検査などを準備している。このように順調に研究計画に基づいて準備を進めていたが、2019年12月末頃より生じた新型感染症拡大に伴う自粛要請などの影響もあり、通常計画していたようなミーティングやワーキンググループの活動が困難な状態が生じている。現在、それら現状を鑑み、可能な範囲でWebなどを活用するなど、状況に応じて試行的に研究を進めている状況もあり、当初の予定よりやや遅れているという結果となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は計画の1年目にあたり、当事者親の会や言語発達障害の支援に携わっている各専門職に対し、定期的なミーティングや意見交換、およびアンケート調査を行い、レーダーチャートに用いるべき各特性と評価基準について選定する。また2年目以降は、地域の保育園や幼稚園、小学校などにおいて各特性の評価基準を設定するためのデータ収集と解析を行うことが目標となっている。研究に必要な備品などを準備することは、新型感染症感染拡大による影響で一時的に停滞していた部分もあるが、感染拡大抑止の状況に応じて再開を目指していく方針である。また、ワーキンググループの活動についても可能な範囲でWebなどに切り替えるなど工夫を行う予定である。また、2年目以降に計画しているデータ収集なども、今後しばらく学校などを訪問して、対面および、集団で行うことが難しいことが予測されるため、こちらもWebを用いて調査できるように対応する予定である。以上の活動をもって、新型感染症拡大防止に努めつつ、2年目以降の研究を進めていく所存である。
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Causes of Carryover |
本研究における1年目の計画で使用される主な経費は、①レーダーチャートの項目を検討するための各種ツールとして、言語発達障害を評価する多種多様な検査の購入、および国立国語研究所の言語コーパス(中納言)使用料といった物品にかかる経費、②ワーキンググループのメンバーと定期的に意見交換などミーティングを行うためにかかる交通などの諸経費が挙げられる。①に関しては各検査を徐々に購入するなど準備している状況であったが、業者ごとに対応が異なることもあり時間を要した。また国立国語研究所の言語コーパスの使用に関しては、本研究で開発されたレーダーチャートが、将来的に商業利用まで発展した場合、コンテンツ使用にかかる諸費用が60万円以上変動するため、本研究の将来的な発展性も考慮し、国立国語研究所とも慎重に相談したため時間を要している。次に②に関しては、新型感染症感染拡大防止に努める必要があり、交通などにかかる旅費に変動が生じた。特に新型感染症感染拡大防止に基づいて様々な活動制限があり、今回、次年度に使用額が生じた理由となっている。今後の研究費の利用については、Web環境の整備などに活用することを想定しており、新型感染症拡大防止を意識した環境を整備しつつ従来通りに本研究が遂行できるように努める所存である。
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