2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K21808
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小澤 貴明 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (90625352)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 安心感 / ドーパミン / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
快・不快は我々の意思決定の基本となる情動であり,これまでその神経メカニズムに関する研究が精力的に行われてきた。一方で,苦痛からの解放,すなわち安心感は,我々の行動を左右する重要な情動であり,ストレスと関連した行動的不適応とも密接に関連しているにも関わらず,その脳内メカニズムの研究はほとんど進んでいない。この問題を解決するため,本研究は,①動物モデルを用いて「安心感」を測定する行動課題を確立し,②脳内報酬系であり,ストレス耐性にも重要な役割を果たすドーパミンに焦点を当て,「安心感」を司る神経メカニズムを明らかにすることを目的とする。本研究では,3種類の音刺激(条件刺激,CS)および微弱電流(無条件刺激,US)を用いた分化恐怖条件づけ課題を用いた。この課題では,CS1(ホワイトノイズ)を10秒間提示した後,50%の割合でCS2+(2.9kHz)あるいはCS2-(4.5kHz)が10秒間提示され,CS2+の後には微弱電流が与えられた。実験の結果,条件づけを複数回数行うと,CS1からCS2+に切り替わった場合と比較して,CS2-に切り替わった場合において動物の示す恐怖反応が減少していることが明らかとなった。次に,近年開発された蛍光ドーパミンセンサーを動物の脳内に局所的に発現させ,ファイバーフォトメトリ―法用いて観察したところ,CS1からCS2-に切り替わった際に,線条体においてドーパミンが上昇することも明らかになった。一連の結果は,将来起こる嫌悪的事象の生起確率が50%から0%に切り替わった際(1)動物は安心感を感じて恐怖反応を減少させること,(2)脳内では報酬系神経回路が活性化すること,を示唆している。
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Research Products
(6 results)