2021 Fiscal Year Annual Research Report
”声”の有するパラ言語情報から類推可能な発話者の個人特性の検討
Project/Area Number |
19K21810
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岸 俊行 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (10454084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣澤 愛子 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成・院), 教授 (10345936)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | パラ言語情報 / 音声 / 性格特性 / TypeA行動 / BigFive / 筆跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、発話音声が有するパラ言語情報に着目して、パラ言語情報とその発話者の個人特性との関連に関して検討を行い、パラ言語情報からどのような発話者の個人特性が推測可能なのか、またその妥当性に関して明らかにすることを目的としておこなった。また音声との対比を行うため、筆跡を刺激として用いて筆跡からの個人特性推測との比較を行った。2021年度は、昨年度にコロナウイルスの影響で実験を実施できなかった、パラ言語情報と個人特性との関連の検討を被験者50人で行った。実験の結果、話者の有するパラ言語情報とタイプA行動特性とは一致しやすいことが明らかになった。また筆跡刺激を用いた性格特性推定の実験の結果、筆跡刺激に書き手の特性が表れていることが明らかになった。特に音声刺激では見られなかった、ビッグファイブや性格特性においてもある程度の類推が可能であることが明らかにされた。ただし、筆跡の性別によって、結果の揺れも多くみられたことから、安定性がある結果とまでは言えなかった。 本研究課題で遂行した、パラ言語情報と個人特性を含む個人情報とを結びつける学術的研究はこれまで、全く行われて来なかった。そのため研究手法においても妥当な方法は見出されていない。本研究では、まず研究手法の開発及びその妥当性の検討から行い、その研究手法を用いて本研究を行った。また従来多くの研究が見られている筆跡を対照刺激として用いて、比較検討を行った。本研究で行った研究手法および研究知見に科学的妥当性が認められるようになれば,産業界のみならず学術領域においても非常に大きな意義を有する。パラ言語情報から個人特性をある程度の妥当性をもって同定することが出来るようになれば,LINE通話やいのちの電話のような電話相談における相談者の心理状態の把握だけでなく,カウンセリング分野における心理アセスメントの幅の広がりにもつながることが期待される。
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