2022 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical research of resilience function in psychotherapy
Project/Area Number |
19K21816
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 俊雄 京都大学, 人と社会の未来研究院, 教授 (30234008)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 高太郎 京都大学, 教育学研究科, 講師 (10583346)
畑中 千紘 京都大学, こころの未来研究センター, 特定講師 (30532246)
田中 康裕 京都大学, 教育学研究科, 教授 (40338596)
粉川 尚枝 京都大学, こころの未来研究センター, 特定研究員 (90828823)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 心理療法 / レジリエンス機能 / 効果研究 / メタ分析 / 国際比較研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度も,中堅~熟練の臨床心理士に対し「過去5年以内に担当した事例で最近終結したものから8つ」の事例提供を依頼し,心理症状群は286事例,身体疾患群は42事例が収集された。各事例提供者を招聘した事例検討会は,オンライン開催も含めて新たに5回が実施され,計42回となった。また,今後の国際比較調査に向けて,台湾で実施したセミナーでも事例を収集した。 日本人の事例において心理療法のプロセスをメタ的に分析し,来談者の変化の契機となった要因を複合的視点から検討すると,心理的問題の変化だけでなく,現実面での変化,箱庭等のイメージの変化といった多層的な変化が生じていた。また,来談者本人の変化が,その周囲の人々へ波及する事例も多く見られた。まだ予備調査段階ではあるが,台湾の事例との異同も示唆されたことから,今後は心の回復プロセスに寄与する事象や変化を妨げる要因の文化差についても検討を進めたい。 令和4年度には,本研究で得られた知見を含め,国際学会での発表を2回行い,また,書籍1冊,英語論文4編,論考1編を公刊した。英語論文のうち2編の書籍化も決まり,今後も研究結果を引き続き公表していきたい。
加えて,新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,令和3年度に公認心理師・臨床心理士を対象に実施した「心理療法を受けている人にコロナ禍がどのように影響したか」に関する調査について,令和4年度に追跡調査を実施した。2022年6月時点で,コロナと関連した変化及びコロナとの関連は不明瞭な変化を再び評定したところ,変化が生じた事例全体では「コロナに関連のない変化」が主で,また,令和3年度の調査で半数以上の事例に見られた「進学・就職・結婚・出産といったライフイベント等,客観的にも明らかな現実生活上の変化」も継続的に生じていた。これは世の中の混沌が続く中,個人が変化する機会は継続している可能性を示唆する結果と考えられた。
|