2021 Fiscal Year Research-status Report
Learning process of trichromatic-like color name responses of dichromats
Project/Area Number |
19K21817
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
須長 正治 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (60294998)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 2色覚 / 色名応答 / 3色覚類似色名応答 / 学習効果 / 色覚異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
色覚には多様性があり,3種類の錐体うち1種類を持たない2色覚という色覚特性のヒトもいる.2色覚は,3色覚が見分けられる色を見分けられない場合があることから,色覚異常とも呼ばれている.しかし,L錐体を持たない1型2色覚やM錐体を持たない2型2色覚でも,比較的大きな刺激を長時間観察すると,赤や緑という3色覚と類似した色名応答を示す.このような応答がなぜできるのかを,その情報源と学習効果という視点から検討するのが本研究課題の目的である. 令和元年度からの二年間で,2色覚の3色覚類似色名応答には,顕著な学習効果は認められないとの結果が得られた.そのため,現在では,その情報源に着目し,研究を行っている. 2色覚の3色覚類似色名応答が得られるように,刺激を大きくすることは,刺激の面積が大きくなるのに伴い.刺激は周辺視野にも呈示される.そこで.令和3年度は,2色覚が3色覚類似色名応答には,刺激の面積が必要なのか,それとも周辺視野に呈示されることが必要なのかの検討を行った.その結果,周辺に呈示されるよりも面積が大きい場合に,3色覚類似色名応答が得られる傾向があることが示された.ただし,本実験は,刺激を呈示する実験装置には精密なキャリブレーションを必要とすることから,対面での実験となる.新型コロナ禍の影響のため,対面に応じてくれる被験者数が少なく,現段階では,明確に周辺呈示よりも大きな面積が必要であると結論づけることはできない. また,昨年度に行った内因性光感受性網膜神経節細胞の刺激量の影響についても,引き続き検討を行う計画である.より内因性光感受性網膜神経節細胞の刺激量の差を作り出せるように,従来のディスプレイではなく,干渉フィルタを用いた光学系の実験装置の製作を令和3年度に行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの蔓延により,対面での実験が困難であったため,被験者数が少なく,現在,得られている結果を一般化するには,今後も,被験者実験を継続する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染のため,令和3年度は,十分な被験者実験ができなかった.そのため,一年間,研究期間を延長し,令和4年度も引き続き,2色覚の3色覚類似色名応答の手がかりを,被験者実験を通して検討していく.また,令和3年度に製作した干渉フィルタを用いた光学系の実験装置を用い,内因性光感受性網膜神経節細胞の刺激量のコントラストを変化させた刺激を被験者に呈示し,内因性光感受性網膜神経節細胞の刺激量が2色覚の3色覚類似色名応答の手がかりとなるのかどうかについての検討を行っていく. さらに,上記の実験結果を総合的にまとめ,本研究課題の目的である2色覚の3色覚類似色名応答の獲得過程について考察を行っていく.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大のため,対面による被験者実験を見送ることがあり,計画通りの被験者実験を実施することができなかった.これにより,実験の被験者謝金や被験者派遣の業務委託に関する支出がほとんどなく,次年度に繰り越すこととなった. 令和4年度は,新型コロナウィルス感染予防措置を行いつつ,被験者実験を実施していく予定である.
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