2022 Fiscal Year Annual Research Report
Learning process of trichromatic-like color name responses of dichromats
Project/Area Number |
19K21817
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
須長 正治 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (60294998)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 2色覚 / 色彩科学 / 3色覚類似色名応答 / 学習効果 / 色覚異常 / 内因性光感受性神経節細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
色覚異常の代表的な色覚特性である2色覚は2種類の錐体応答に基づき色知覚がなされ,色の見えは3色覚と異なる.しかし,ある程度以上の大きい色刺激を比較的長時間観察すると,3色覚と類似した色名応答をすることが知られており,この2色覚の3色覚類似色名応答に関する問題については,いくつかの仮説が提案されているが,どれも仮説の段階であり,有力な説とはなっていない.また,問題を扱う際に,学習効果という観点から検討した研究は,数少ない.そこで,この本研究課題では,学習効果という観点から,検討を行った.さらに,学習効果が認められた場合,機械学習でその過程を探ることも視野に入れて,検討することとしていた. 実験では,2色覚を対象に,学習フェーズと検査フェーズからなる通常の心理学の学習効果を測定する方法を採用した.まず,学習前実験して,どの程度,3色覚類似色名応答がなされるのかどうかの測定を行った.学習フェーズでは,色名応答の課題に対し,回答後,被験者に正解をフォードバックし,その色が3色覚にとってどのような色名であるかを教示した.この学習フェーズを3回続け,その後,被験者に正解をフォードバックしない検査フィーズの実験を行った.この検査フェーズでは,学習フェーズで用いた刺激と学習フェーズで用いなかった刺激が呈示され,学習フェーズで用いなかった刺激の3色覚類似色名応答数を評価した.その結果,学習効果を示唆する3色覚類似色名応答が増加するという結果は観察されなかった.このことは,すでに2色覚の3色覚類似色名の学習が飽和状態に達している可能性があること,または,単純な色刺激と色名とをリンクさせるというだけでは,学習効果が得られないことを意味する. また,近年,5番目の光受容細胞として発見された内因性光感受性神経節細胞の影響についても検討した結果,3色覚類似色名応答への明らかな寄与は認めらなかった.
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