2019 Fiscal Year Research-status Report
自律神経システムの予測処理機能と精神疾患症状との関係性の探索的解明
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19K21819
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
梅田 聡 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (90317272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 將 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00190728)
寺澤 悠理 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (30585790)
朝比奈 正人 医療法人同和会(神経研究所), 神経研究所, 主任研究員 (40301098)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 自律神経 / 内受容感覚 / 精神疾患 / 予測処理機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,情動や記憶,社会的行動に影響を及ぼす要因である自律神経活動システムに着目している.自律神経系の活動は,我々が常に意識することは困難である場合が多いが,一方で無意識的にさまざまな認知機能に影響を及ぼしている.本研究においてそのメカニズム解明に当たり注目するのが,自律神経活動が介在する内臓の動きに関する繊細さを示す「内受容感覚」である.特に本研究では,自律神経系の持つ予測機能に焦点を当て,それが心身の状態を安定化および不安定化させることを仮定し,それを実証する実験を実施している.そして,その予測システムに機能不全が生じると,不安や抑うつなどの精神疾患症状を引き起こす可能性について多角的に検討する.本研究では,精神医学・神経学・認知神経科学のアプローチにより,この問題に迫るが,本年度実施したのは,精神医学的アプローチによる不安障害に関する研究と,神経学的アプローチによる頭痛研究,および認知神経科学のアプローチによる内受容感覚に関する脳波研究である.不安障害については,内受容感覚が高い傾向にあることを確認した上で,それと不安予測が関係することが見出されている.それを受け,その症状を前景として呈する身体症状症を対象とした研究を進めている.痛みの予測と心理療法の効果を予測機能の指標として取り組む方向性を定めることができた.また,頭痛に関しても,緊張型と片頭痛型に分け,症例の性格傾向の違いがあり,それと予測的な痛みの関係性についての研究を進めている.さらに,脳波を用いた研究では,内受容感覚に関係の深い求心性信号が心拍のどのタイミングで生じているかを徹底的に調べることにより,身体から中枢への信号伝達における予測成分について分析するまでに至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画を一部変更したことにより,予定通りに進行していない部分があったことに加え,年度末に病院において実施する予定であった実験の実施が,感染症拡大の影響により,困難になってしまった.これらの影響により,計画よりもやや遅れているのが現状である.
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Strategy for Future Research Activity |
実験の再開時期が不透明であるが,実施が可能になった段階で,なるべく各実験を効率的に進められるように計画を練り直す.具体的には,実験協力者を増やし,同時並行的に実験が実施できるように計画を見直す予定である.
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Causes of Carryover |
主に感染症拡大の影響により,一部の研究計画を次年度に実施する予定に変更したため.次年度も当初の計画通りには進まない可能性があるため,オンライン実験プログラムの導入も積極的に検討し,そちらの購入費用に割り振る予定である.そして,可能な限り,進行に遅れが出ないように努力する.
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