2019 Fiscal Year Research-status Report
身体運動に起因する自己移動感・運動主体感と空間的注意分布
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19K21823
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 隆夫 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (60272449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 聖剛 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (00415720)
金谷 英俊 立命館大学, 総合心理学部, 助教 (20513039)
河原 純一郎 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (30322241)
温 文 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (50646601)
鳴海 拓志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (70614353)
北崎 充晃 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90292739)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 自己運動知覚 / 視覚的運動知覚 / 視力 / 有効視野 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動主体感とは,自分の意識で自分の行動を制御し,外部の事象の変化を引き起こしたという主観的な感覚を指す.この概念は,感覚,知覚と行動との関係を論じる上で,またロボット等を人間が制御する際にキーとなる概念である.しかし,現在まで,手の動きと,視覚 的な対象の関係が主要な関心であり,制御者の身体のグローバルな移動に対する運動主体感という問題は扱われていない.本研究は,操作者自 身の体の全体的な移動に注目し,操作者の視覚的な注意の空間分布と関係づけようとする.身体全体の運動の運動主体感に着目する点,また,それを空間的な注意分布として評価する点に新規性がある. 上記の展望に基づき,本研究の具体的な目標は以下の2点に集約される. 1自己移動を伴う身体運動時の知覚・認知特性の一例として,自転車走行時の視覚特性,とりわ け低次・高次の有効視野その他の,知覚・認知特性への効果の検討を行う. 2その時,運動と視覚入力の整合性(生態学的な妥当性),運動主 体感を操作し,そうした要因の効果の検討を行う. 自転車走行時の研究はいくつか存在するが,本研究が目的とする自転車走行時の視覚特性,特に注意の空間分布の問題を扱った研究は見当たらない.本研究では自転車をローラー台装置に装着し,低速から高速までの自己移動をシミュレートし,身体が比較的安定した状態で,視知覚・認知特性を検討する.同時に,運動主体感の操作も行い,運動主体感の強さの注意分布への効果をも検討する.本年は,視覚的な運動感を誘発する刺激(背景刺激)として,放射状に拡張・収斂するランダムドットパターンを用い,自転車走行時の視覚の基本特性,低次・高次の有効視野との関係 静止時,および様々な速度での走行条件を組み合わせ,視力,低次・高次の有効視野を計測・比較する実験を実施し,視力,低次・高次の有効視野に関する基本データを取得した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は,交付申請で掲げた目的のうち,視覚的な運動感を誘発する刺激(背景刺激)として,放射状に拡張・収斂するランダムドットパターンを用い,自転車走行時の視覚の基本特性,低次・高次の有効視野との関係 静止時,および様々な速度での走行条件を組み合わせ,視力,低次・高次の有効視野を計測・比較する実験を実施し,視力,低次・高次の有効視野に関する基本データを取得し,所期の目的をほぼ達成した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年は昨年取得した基本データにも続き,以下の(1)自己運動と視覚入力との整合性/運動主体感と視知覚・認知の関係 現実世界では,ペダリング動作に対応した視覚刺激の流れ(オプティ カルフロー)が生じる.この場合,自己運動と視覚入力は整合性を持つ.前進運動に対しては拡張刺激が整合的な刺激となり,静止,収斂刺激 は不整合刺激である.こうした,自己運動と視覚入力の整合性が視知覚・認知特性にどのような影響を与えるかを検討する.さらに,整合時に,身体運動とは非同期な変化成分(正弦波状の変化)を混入し,その振幅と視覚特性の関係を測定する.(2)変化の検出に対する自己運動の効果 背景刺激の一部領域の運動速度を突然変化させた時の変化検出の感度を上記の項目の各条件において測定し,自己運動の有無と変化検出感度と の関係,とりわけ,その視野上の分布を検討する.(3)二重課題による検討.ボトムアップ的視覚処理と注意を必要とする認知過程の関係を明らかにするために,二重課題を用いた検討を進める.
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Causes of Carryover |
年度末に国外で開催される国際学会での発表,海外研究者との交流,研究打ち合せ,共同実験等を計画していたが,新型コロナビールスの流行により,海外出張,国際交流が頓挫したため支出が小さくなった.
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Research Products
(7 results)