2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト・チンパンジー・サルの描画における階層構造構築
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19K21824
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Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
幕内 充 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 研究室長 (70334232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 亜矢 京都芸術大学, 文明哲学研究所, 准教授 (10571432)
依光 美幸 東京都立駒込病院(臨床研究室), リハビリテーション科, 主事 (30836721)
酒井 弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50274030)
広瀬 友紀 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50322095)
林 美里 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (50444493)
香田 啓貴 京都大学, 霊長類研究所, 特定研究員 (70418763)
中谷 健太郎 甲南大学, 文学部, 教授 (80388751)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 描画 / 模写 / なぞり描き / 幼児 / 脳損傷 / サル / チンパンジー / 眼球運動計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では成人の描画における描き順に、パーツごとのまとまり、即ち階層構造があることを実証した。成人からは30程度の手本絵の模写、なぞり書きデータを30人ずつから取得した。描き順や時間情報を分析するためデータを整形するプロシージャを構築し、データ分析を行った。クラスター分析によって階層構造を持って描画することが示された。さらに成人10人を対象に手本絵の模写をさせる際の眼球運動を計測した。データは現在分析中である。 脳損傷患者ではROCF描画過程のタイプ分類を試み、8タイプに分け、描画過程と認知機能の成績の相関を調べるなどしてその有用性を検討した。損傷半球による描き順の違いや描き順から全般的認知機能や遂行機能障害の有無を推測できる可能性が示唆された。 幼児では日本語を母語とする成人および3~5歳児、そしてタイ語を母語とする成人および3~5歳児を対象に階層構造の理解(左右枝分かれ多義性を持つ構文の処理)と、描画における階層構造の扱い(下位構造単位の扱いや全体構造のとらえ方、書き順など)の検討を行った。結果、両国の幼児の描き順及び階層構造に大きな違いはないことが分かった。 飼育下のチンパンジーを対象として、デジタルペンと専用紙による描画行動の記録を試みた。2個体のチンパンジーが、デジタルペンによる描画をおこない、うち1個体では描線のデジタルデータを得ることができた。さらに、チンパンジーとヒト幼児を対象とした既存のビデオデータと、描線結果のデータを組み合わせることで、時系列情報を含む描画行動のデジタル分析を試みた。 ニホンザルでは画面上に一つづつ出現する点を並べくはやく指でタッチするという課題を行った。2点の中点に3点目が出る条件で、訓練により3点目のタッチが早くなるか検討した。データは現在分析中である。
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