2021 Fiscal Year Research-status Report
Foundation of magnitude homology and applications
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19K21826
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉永 正彦 北海道大学, 理学研究院, 教授 (90467647)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | マグニチュード / マグニチュードホモロジー / ポセット / グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
マグニチュードは「距離空間の実質的な点の個数」という位置づけでLeinsterによって導入され、マグニチュードホモロジーはその圏化であるとされている。 マグニチュードホモロジーの計算手法や基本性質、さらに組み合わせ論的現象の圏論的ないし幾何学的な理解に向けた研究を進めている。2021年に出版された論文で、Asao-Izumiharaはグラフに対して、単体複体の対であってそのホモロジーがマグニチュードホモロジー(の直和因子)になるものを構成した。これはマグニチュードホモロジーのある種の幾何学的な実現を与えた研究とみなすことができる。2021年度はこの複体(AI複体)に関する研究を中心に進めた(博士課程大学院生の田嶌氏との共同研究)。マグニチュードホモロジーに関して注目されている性質として「対角性」が挙げられる。対角性はAI複体のホモトピー型に強い制約を与えているという観察にもとづき、対角性が知られている、Pawful グラフというクラスのグラフについて、離散モース理論を使ってAI複体が実際に球面の一点和とホモトピー同値であることを証明した。本成果については、共同研究として論文としてまとめ、専門誌へ投稿中である。田嶌氏が(二件の招待講演を含む)国内の研究集会やセミナーで口頭発表を数件行った。 これとは別に、組み合わせ論的相互律の幾何学的実現に関して、以前はオイラー標数どまりであった結果の一部を空間の同相性にまで強めた成果に関する(吉田氏との共著)論文が出版された。グラフに付随する超平面配置が一元体上定義できるのはいつか?という先行研究において提起された問題を解決し(東田氏との共著)論文を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定にはなかったが、大学院生の協力を得て、2021年度末に観察されていたマグニチュードホモロジーの対角性とAsao-Izumihara複体のホモトピー型の関係を、Pawfulグラフに対して確立できたことは特筆するべき成果であると考えている。一方で、本研究期間の1~2年目に得られていた計算結果や観察を発表できるところまでまとめられていない点は、遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、途中成果を論文として発表できる形にまとめる作業を行う。1月に発表された、Asao氏のプレプリントは、マグニチュードホモロジーに関する新しい方向性を示しているように思われるので、関係する研究者を訪問・招へいし、議論を進めることで、マグニチュードホモロジーの理解に進展をもたらす。 組合せ論的相互律の幾何学的実現についても、残された部分が鮮明となり、特に局所コンパクトでない空間(実代数的集合)に対するBorel-Mooreホモロジー理論が不可欠であることが明らかになった。Borel-Mooreホモロジー理論を拡張する枠組みを模索する。
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Causes of Carryover |
2021年度は感染症対策のため、出張が大きな制約を受けたため、研究遂行にも大きな支障があった。Bremen大学のKozlov氏と、離散モース理論を使った共同研究の相談を進めている。2022年度中にKozlov氏との共同研究の開始、これまでの成果のとりまとめと発表を行う予定である。
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